寒暖差アレルギーの原因と対処法 ― 季節の変わり目の不調に要注意

2022/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寒暖差が大きい季節の変わり目に鼻水や咳などの症状が出るのは、アレルギーや風邪ではなく、寒暖差アレルギーが原因かもしれません。寒暖差アレルギーは、花粉・ハウスダスト・風邪などの流行シーズンと時期も似ているため、勘違いされることも多いようです。うこの記事では、寒暖差アレルギーの原因と症状の特徴、治療方法、対処法について解説していきます。

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「寒暖差アレルギー」…季節の変わり目の咳や鼻水の原因かも?

寒暖差アレルギーとは、急激な気温の変化が原因となって、風邪やアレルギーのような症状が出ることです医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。「昨日まで暖かかったのに急に肌寒くなった」など、大きな寒暖差を感じると、自律神経(交感神経と副交感神経からなる、心拍数・血圧・体温・代謝・消化などを調整する神経)が乱れやすくなります。寒暖差アレルギーの発症には、自律神経が関係しているといわれています。

通常、自律神経は、寒いときに血管を収縮させ体温を逃さないように働きかけ、暑いときに血管を拡張させて汗をかきやすくして体温を外に逃がそうと働きかけます。このような「寒さ・暑さに順応する働き」は、交感神経と副交感神経が相互に働きかけることで維持していますが、自律神経が適応できる寒暖差は約7℃までとされており、それを超える寒暖差が生じると、自律神経の温度調整が追いつかなくなりさまざまな不調が現れるようになります。7℃以上の寒暖差がある場合は、鼻粘膜の血管が拡張し、むくみが出て、以下のような症状が現れやすくなります。

寒暖差アレルギーの主な症状
  • サラサラとした鼻水
  • 鼻詰まり
  • くしゃみ
  • 皮膚のかゆみ
  • じんましん
  • 食欲不振
  • 不眠
  • 倦怠感
  • イライラ など

風邪やほかのアレルギーとの違い

風邪などの感染症では、一般的に咳や鼻水と合わせて発熱やのどの痛みも現れますが、寒暖差アレルギーで発熱やのどの痛みなどの症状が現れることはほとんどありません。また、風邪の鼻水は粘性で黄色っぽく、寒暖差アレルギーの鼻水は透明でサラッと水っぽいというように鼻水の特徴も違います。

また、寒暖差アレルギーは、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因ではないため、寒暖差アレルギーのみが原因の症状であれば、アレルギー検査をしても特に異常は見つからない点で、ほかのアレルギーと違います(ただし、寒暖差アレルギーとほかのアレルギーが併発することはあります)。また、花粉やハウスダストなどのアレルギー症状では、目のかゆみや充血などの「目の症状」が現れることも多いですが、寒暖差アレルギーでは目の症状が現れることもほとんどありません。

寒暖差アレルギーの対処法 ― 何科を受診すればいい?

寒暖差アレルギーの症状に気づいたら、鼻水やくしゃみなどの症状が現れている場合は耳鼻咽喉科、全般的な体調不良がある場合は内科、皮膚のかゆみがある場合は皮膚科など、まず「現れている症状」にあわせて受診する診療科を選びましょう。

治療内容は病院の治療方針や症状などによって変わりますが、一般的には、鼻炎のような症状が強ければ抗アレルギー薬や点鼻薬、不眠症状では睡眠薬、皮膚のかゆみがあれば外用薬など、適宜症状にあわせた薬が処方されます。

寒暖差アレルギーは自律神経の乱れが原因のため、以下のように生活習慣を見直して体調・体質を整えることが対策の基本になります。

運動を習慣化する

筋肉量の少ない女性や高齢者は、寒暖差アレルギーになりやすいといわれています。軽いウォーキングや筋トレなど習慣化して筋肉量を増やし、基礎代謝を上げるようにしましょう。

体を冷やさない

エアコン(クーラー)の冷風や冷たい外気、強い風などで体が冷えると、寒暖差アレルギーの症状が出やすくなります。ひざ掛けやカーディガンなどの体温調整しやすいものを用意し、体を冷やさないようにしましょう。体を内側から温める食べ物(温かいスープ、しょうが、スパイスなど)を日々の献立に取り入れることもおすすめです。

おわりに:季節の変わり目は体調管理に一層注意を

寒暖差アレルギーは、急激な気温差や冷たい風などが存在する環境であれば、どのような人でも発症する可能性があります。体温調整のため脱ぎ着しやすい服装を心がける、基礎代謝や体質改善のため生活習慣を見直すなどで対策できる場合もあるので、まずは運動の習慣化、冷え対策から始めてみましょう。ただし、症状がひどい場合は、まず症状あわせた診療科を受診することをおすすめします。

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