記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
ニキビなどの肌荒れの原因としてよく知られる「アクネ菌」とは、どのような菌なのでしょうか。アクネ菌の増殖を防ぐためには、どんな方法が有効なのでしょうか。アクネ菌が増える原因と併せて、詳しく解説していきます。
アクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)は、誰しもの体に存在している常在菌(じょうざいきん)のひとつです。常在菌は、他の常在菌とバランスをとって暮らしていて、普段は特に悪さをするわけではありません。
アクネ菌は、生きていくために酸素を必要とせず、皮膚の奥深くに住んで人間の皮脂を栄養にして生きています。このアクネ菌は幼児のころから皮膚に存在していますが、思春期のころに最も増加して、ニキビを悪化させることがあります。
体のホルモンバランスが変化し始める思春期では、ホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んになります。また、毛穴の表面近くで古い角質が残って固くなる角化異常が起こり、皮膚が固くなったり、炎症を起こしがちになったりして、毛穴を塞ぎやすい状態となります。つまり、皮脂分泌が盛んになっているのに、うまく排出ができずに毛穴の中に皮脂が溜まってしまう状態が起こります。まさに、皮脂が大好きなアクネ菌が増殖しやすい環境となってしまうのです。
アクネ菌は皮脂が大好物なので、皮脂を食べて代謝を行い、酵素や不要物を排出しながら増殖をします。脂肪を分解する酵素(リパーゼ酵素)をつくり、脂肪を分解します。その際につくられた不要物が、毛穴を刺激することでニキビを悪化させます。また、アクネ菌の急激な増殖によって常在菌のバランスも崩れ、他の常在菌が悪さをする可能性もあります。
アクネ菌の増殖を防ぎ、ニキビを予防するためには、普段からのスキンケアが大切です。
特に思春期以降には皮脂分泌が盛んになって、ニキビに悩まされる人も多くなります。ニキビを悪化させるアクネ菌は、本来は誰しもが持っている常在菌のひとつです。思春期以降の皮脂分泌や、ストレス、生活習慣などが影響すると、アクネ菌が異常に増加して悪化するともいわれます。自分の肌にあったスキンケアや生活の見直しをしつつ、症状がおさまらないときは皮膚科の受診を検討しましょう。
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