記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肝臓にはどのような機能があるのでしょうか?また、肝機能の低下を予防するためにはどうすればいいのでしょうか?肝臓の機能や肝機能低下の予防方法について解説していきます。
肝臓は肋骨に囲まれた上腹部の右側に位置している臓器で、大人では1200~1500g程度の重さがあります。栄養素などの様々な物質を化学的に変化させる作用があり、何千という酵素を使用して500以上の化学変化を起こしています。
このような肝臓の機能を他のもので代用することはできないため、肝臓を健康に保つことはその他の器官を健康に保つうえでも重要となります。
胆汁は肝臓で生成されて胆管に分泌された後、胆嚢にたまって濃縮され、膵液とともに十二指腸で脂肪の分解を促進する働きがあります。胆汁は肝細胞から常に分泌されており、黄緑色をしています。また、肝細胞にはビリルビンと呼ばれる脾臓から運搬されてきた色素を水に溶けやすいように変化させた後、胆汁中に排出する働きがあります。
肝臓には、消化管で消化・吸収された運ばれてきた食べ物を、何百種類もの酵素の働きで、栄養素を代謝(分解や再合成)する作用があります。
肝臓で代謝された栄養素はその後、血液中に放出されたり、肝臓に蓄えられるようになります。具体的には、以下のような働きがあります。
肝臓には解毒作用があり、肝臓に流れ込んできた食品添加物・薬物・細菌などを分解・無毒化する働きがあります。具体的には以下のような働きがあります。
肝臓では以下のような免疫細胞が活躍しています。
肝臓には痛みを感じる神経が、肝被膜と呼ばれる肝臓の表面にしか存在しないため、肝臓の極端な腫れや巨大な腫瘍による肝被膜の伸展以外では、痛みを伴うことがないとされています。そのため、7cmほどの巨大な肝癌ができている人でも目立った症状が現れないということもあります。
ウイルスに感染してから数週間~数ヶ月経過した頃に、皮膚や目が黄色くなる(黄疸)、尿の色が濃くなる、だるい、食欲がない、吐き気がする、などの症状が現れます。
急性肝炎が治りきっていないなどで、約6ヶ月以上肝臓の炎症が持続している状態のことです。食欲がない、疲れやすい、たまに吐き気がするなどの症状が見られますが、症状の程度が軽いため、健康診断の血液検査で偶然発見されるケースが多いとされています。
しかし、適切な治療を受けずに放置しておくと肝硬変や肝臓がんになる可能性があるため、注意が必要です。
慢性肝炎などで肝臓の細胞が破壊と再生が繰り返されることにより繊維状となり、肝臓が固くなってしまった状態のことです。肝臓の機能が低下し、元の状態に戻ることが難しくなっています。また、病態が進行すると肝臓がんになることもあります。
長期間にわたり病態が進行していくため自覚症状がないことが多いですが、進行した肝硬変では、全身倦怠感、食欲不振、浮腫、腹水(による腹部膨満)、意識障害(肝性脳症)、貧血、吐血(食道胃静脈瘤、門脈圧亢進性胃症)などが見られます。
肝臓機能を維持するには、生活習慣を見直し、以下のことを改善することをおすすめします。
詳しくは以下で紹介していきます。
禁酒が望ましいですが、それがストレスとなる場合は節酒を心がけるようにしましょう。
ただ、肝機能検査にてγ-GTPが高値を示す場合は、正常値に戻るまで禁酒する必要があります。週に2日は休肝日を作るといいでしょう。また飲酒と喫煙を同時にすることは、悪酔いのもととなる酵素(アセトアルデヒド)が産生される原因となるため避けましょう。
健康を保つためには、以下のいずれかひとつ程度の摂取量が目安となります。
肥満の人や中性脂肪の検査値が高い人は、肝臓にも脂肪が蓄積しているため、肝脂肪や肝機能低下が起こる可能性があります。そのため、早めに肥満を解消することや、肝臓に負担をかけないように食事量を控える必要があります。
タンパク質は分解後にアミノ酸になりますが、アミノ酸は8種類そろうことで正常に利用されるようになります。そのため栄養素のバランスを整えるために、様々な食品から栄養を摂取する必要があります。
また肝細胞を修復する際にも、細胞の構成主体となるタンパク質が必要となるため、高たんぱく食品を積極的に摂取することが大切です。
減量中の場合でも、必要なタンパク質は減らさずにきちんと摂取して、脂肪や糖分の豊富な食品を避けるようにしましょう。
なお、食後30分~1時間後が肝臓が最も活発に働くため、この時間は横になり安静にしているといいでしょう。
薬や食品添加物は、分解する際に肝臓に負担がかかるため、余分な薬や食品添加物を多く含む加工食品、外食などは避けましょう。
食後や疲労しているときには、体の右側を下にして横たわり、肝臓への血液供給を促進させましょう。横になる体勢は、立っている時と比べると肝臓への血液供給量が約4倍になるとされています。また、睡眠を十分に取ることで肝臓がしっかりと栄養補給できるため、毎日十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
胆汁を作ったり、栄養素を貯蔵したり、毒を中和したりと、肝臓はさまざまな重要な役割を担っています。肝機能の低下を防ぐためには、不規則な生活習慣を改善することが大切で、禁酒・肥満解消・余分な薬や食品添加物を避ける・睡眠時間を十分に取る、栄養バランスを整えることなどが必要となります。
この記事の続きはこちら