記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血液をろ過して尿を作ったり、体内の水分濃度を調節して血圧を保ったりなど、腎臓は身体の健康維持に重要な役割を果たしている臓器です。
今回は、腎臓の機能低下が起こった場合に現れる症状や重症化するとどうなるのかについて、その原因と改善策とあわせて解説していきます。
腎臓機能が低下したときに現れる代表的な症状として、以下が挙げられます。
腎機能が低下してしまう2大要因として、「食生活」と「生活習慣病」が挙げられます。
腎臓は、タンパク質の消費によって生成される尿素窒素や尿酸などといった有害物質の処理と、塩分の排出を一手に引き受けている臓器です。このため、タンパク質や塩分過多の食生活を送っていると腎臓に負担が蓄積していき、疲れから腎臓の機能が低下していく可能性があります。
一方、大量の血液をろ過する腎臓は、血液・血管状態の影響を受けやすい臓器でもあります。このため、糖尿病・高血圧・脂質異常症など、血液や血管に異常をきたす生活習慣病を発症すると、腎機能が低下する可能性も高くなるのです。
特に高血圧と糖尿病は、以下の理由から腎機能の低下と密接にかかわっているとされます。
腎臓の機能低下は一旦始まるとどんどん進行し、その機能は少しずつ失われていきます。
腎機能が本来の30%程度してなくなると、先述した尿の異常やむくみ、貧血、だるさ、高血圧などさまざまな症状が現れます。この段階まで来ると、食生活を見直しても完全に腎臓の機能を回復することは難しくなり、今ある30%の機能を維持するための治療を行っていくことになります。
さらに進行して、腎機能が本来の30%を下回るまで極度に低下する「末期腎不全」の状態になると、人工的に腎機能を代替する治療の必要が出てきます。
具体的には、健康な人から2つある腎臓のうち1つを提供してもある「生体腎移植」と、人工腎臓または自分の腹膜を使った「透析療法」を行います。
ただし、日本で生体腎移植が行われたケースは少なく、ほとんどの人が人工透析を受けることで、腎機能を補っているといわれています。
自覚症状がほとんどない軽度の段階で腎機能の低下がわかった場合は、食生活に気を付けることで、腎機能を回復できる可能性があります。
以下に、腎臓の機能回復に役立つ食事療法のポイントを紹介しますので、参考にしてください。
腎機能低下の一因となる生活習慣病のリスクを減らすため、1日の摂取エネルギー量が適正になるよう、管理しましょう。
1日の適切な摂取エネルギー量は「標準体重×30~35(kcal)」、標準体重は「22×身長(m)×身長(m)」で算出できます。
なお、肥満を指摘されている場合は、1日の摂取エネルギーを「標準体重×25(kcal)」以下になるよう調整しましょう。
塩分の摂取量を減らすことも、腎臓の負担を減らすことで、腎機能の回復を助けます。1日当たりの塩分摂取量は、以下を参考にしてみてください。
ラーメンやうどんの汁は飲み干さない、漬物など塩分の高い食品を控える、減塩の醤油や味噌を使うことを習慣づけるだけでも、かなり違ってきます。
腎機能回復のためにタンパク質摂取量を制限する場合、1日あたりの摂取量が「標準体重×0.6~0.8g」になるよう指導される可能性があります。ただし、タンパク質が不足すると体調不良に陥る可能性もありますので、医師や栄養士に相談のうえ、制限することをおすすめします。
腎臓は、血液から老廃物や余分な水分・塩分を取り除いて尿として排出したり、血圧を調整するホルモンなどを分泌しています。腎臓の機能が低下すると尿の見た目や回数の変化をはじめ、全身のむくみや倦怠感、貧血症状などが出ます。腎機能は、腎臓に負担が大きい食習慣や生活習慣病によって低下し、放っておくと進行して人工透析などの治療が必要になります。検診等で腎機能の低下を指摘されたら、早めに早めに医師に相談し、食習慣などを見直しましょう。
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