記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
黒色便や下血、発熱、腹痛などはさまざまな疾患が原因で見られますが、小腸に炎症が起きたときもこれらの症状が出ることはあるのでしょうか?以降で解説していきます。
小腸疾患は、炎症性疾患・腫瘍性疾患・全身性疾患の部分症として見られる小腸病変、血管形成異常、憩室症などに大きく分けられます。
また、小腸の炎症性疾患による主な症状として、下血、腹痛、便通異常、腹部膨満、低栄養、体重減少などが見られるとされています。
なかでも、小腸潰瘍の瘢痕狭窄に伴う腸閉塞が原因となり腹痛や便秘が生じている場合や、小腸出血が見られる場合は、重篤な病態となる恐れがあるため早急な対応が必要となります。また、小腸から出血が起こる場合は、赤色便が排出される血便よりも、黒色便が排出される下血が多く見られるとされています。
小腸の検査は、主に内視鏡検査が用いられ、近年は小腸カプセル内視鏡とバルーン内視鏡で検査することが多いです。
長さ26mm、幅11mmほどのカプセル内視鏡を飲み込み、カプセルが消化管の動きにより進む様子を1秒間に2枚のペースで撮影していきます。計5万~5万5000枚の画像を撮るために7~8時間ほど撮影を続け、レコーダーに記録した後、コンピューターで動画解析します。
患者さんへの負担が少ない、小腸全体の観察が可能などのメリットがある反面、食道・胃・大腸などの観察は難しく、撮影時間や小腸にある内容物の影響により小腸の奥の撮影が十分にできなくなるケースもあるというデメリットがあります。
また、この検査では病巣の切除はできず、以下のような人は検査を受けることができないという側面もあります。
2cmほどの長さのスコープと、バルーンの付いたオーバーチューブを組み合わせたバルーン内視鏡を用いて行われます。
線透視で位置を確認しながらバルーンを膨らませたりへこませたりしてオーバーチューブとスコープを進退させ、小腸を折りたたむように縮めながら内視鏡を奥へと進めていけるため、小腸全体を観察することができます。
バルーン内視鏡には、バルーンがオーバーチューブとスコープの2箇所に付いているダブルバルーン内視鏡と、バルーンがオーバーチューブのみに付いているシングルバルーン内視鏡があります。
挿入は経口的にも経肛門的にも行うことができ、小腸全体の観察のために両方向から挿入することもあります。
また、バルーン内視鏡では、観察のみならず止血やポリープ切除、狭い部分を広げる、などの処置が可能です。
寛解期では、腸への負担を減らすため消化に良い食事を心がける必要があります。
脂質や刺激物などは控え、以下のことに注意して、主食・主菜(タンパク質)・副菜(野菜)をバランスよく摂取しましょう。
安全かつ効率の良いエネルギー源となる主食(炭水化物)は、以下のような食品から十分に摂取するようにしましょう。
タンパク質を多く含む食品の中には病態を悪化させるものもあるため注意しましょう。
また、タンパク質の過剰摂取は脂肪の過剰摂取にもなるため、摂り過ぎないようにしましょう。
脂肪は病態を悪化させる原因となるため、調理の際に動物性油脂などの油脂を使用しすぎないように気をつけましょう。また、脂肪を多く含む食品にも注意する必要があります。
狭窄が見られる場合は食物繊維を摂りすぎると腸閉塞になる恐れがあるため注意が必要です。狭窄がない場合でも、食物繊維を多く含む食材は柔かく調理してから食べるなど工夫をするようにしましょう。
小腸の炎症性疾患による主な症状として、下血、腹痛、便通異常、腹部膨満、低栄養、体重減少などがあり、その中でも、小腸潰瘍の瘢痕狭窄に伴う腸閉塞が原因で腹痛や便秘が生じている場合や、小腸出血が見られる場合は、早急な対応が必要だとされています。
なお、小腸に炎症が発見された場合は、腸への負担を減らすため消化に良い食事やバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
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