記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
三大生活習慣病という言葉は、ニュースやCMなどでもよく聞かれる言葉です。この三大生活習慣病とは、具体的にどのような疾患が含まれるのでしょうか?また、これらの疾患の原因や、予防法にはどのようなものがあるのでしょうか?
三大生活習慣病とは、「がん」「心臓病」「脳血管疾患」の3つをいいます。これらの疾患は、かつては三大成人病と呼ばれ、不規則や乱れた生活習慣の積み重ねによって内臓脂肪型の肥満が起こることが原因と考えられています。
また、この三大生活習慣病は、日本人の主要な死亡原因になっています。平成29年度の厚生労働省「人口動態統計月報年計」によれば、三大生活習慣病による死亡者数は全体の死亡者数のうち以下の割合を占めます。
三大生活習慣病は、合計すると死因の51.2%を占めています。以前は約6割程度を占めていたこともあり、最近ではやや減ってきてはいるものの、依然として死因の過半数を占める疾患です。
これらの生活習慣病は、名前のとおり生活習慣に起因することが多い疾患ですから、生活習慣を改善することで発症のリスクを減らすことが可能です。主に「適度な運動」「バランスの取れた食生活」「禁煙」「節酒」「休養」に気をつけることで、生活習慣病のリスクの低減が期待できます。
三大生活習慣病を招く原因は、以下のようなことが考えられています。
食生活は、生活習慣病の主な原因である内臓脂肪型の肥満に直結する要因です。とくに、肉だけや野菜だけといったように、栄養バランスの偏った食事を続けていると、生活習慣病を発症するリスクが高くなります。高カロリーの食事や、塩分の多い食事、加工食品も摂りすぎないように注意しましょう。
喫煙は、三大生活習慣病だけでなく、糖尿病や高血圧、脂質異常症、慢性気管支炎、肺がんなど、さまざまな病気を引き起こすリスクがあります。がんの最大の危険因子でもあり、がんの発症リスクは非喫煙者の2〜3倍になるという見解もあります。心疾患や脳血管疾患の発症リスクは、禁煙後5年経てば非喫煙者と同等にまで引き下げることができます。
喫煙は、「ニコチン依存症」という中毒状態でもありますので、やめたいと思っても簡単にやめられないことが問題です。そこで、医師に相談してニコチンパッチなどの処方を受けたり、禁煙サークルなどに参加したりするのが有効であるとされています。
飲酒は、節度を守って量や休肝日などに注意しながら飲んでいれば大きな問題はないとされていますが、多量のアルコール節酒を長期間摂取し続けることは、高血圧症や脂質異常症の原因となります。多量のアルコールは肝臓で中性脂肪に合成されてしまうため、血液中の脂質値が上昇してしまいます。
運動不足は、糖尿病や脂質異常症、高血圧症、肥満などの原因となります。これらの疾患は動脈硬化の原因にもなり、重篤化すると脳梗塞や心筋梗塞などの冠動脈疾患を引き起こす可能性があります。また、運動不足はインスリンの働きを抑制し、血糖値や血圧の上昇を招き、中性脂肪の代謝を悪くする危険性があります。
インスリンの働きを抑制するのは、慢性的な睡眠不足も原因の一つに挙げられます。睡眠は体内の正常なホルモン分泌を促すため、睡眠不足はホルモンの正常な分泌を妨げてしまいます。また、ストレスが加わると抗ストレスホルモンが分泌され、血糖値が上がりやすくなったり脂肪が蓄積されやすくなったりします。
三大生活習慣病を予防するには、上記の6つの原因を避けることが大切です。各項目について、詳しく見ていきましょう。
食生活では、以下のようなことに気をつけましょう。
摂取カロリーの目安を大幅に超えないよう、性別も考慮してカロリーの摂取量に気をつけましょう。また、エネルギー源であるご飯やパンなどの主食、タンパク源である主菜、ビタミン・ミネラルを摂れる副菜と、栄養バランスを考えて種類の多い食事を摂りましょう。また、味噌汁などの具だくさんな汁物を1日1杯飲むこともおすすめです。
禁煙するには、さきほども触れたように、ニコチンパッチやニコチンガムなどからニコチンを摂取することで禁断症状を緩和しながらニコチンの量を減らしていく方法があります。医師の指導を受けながら行うことで、意志の力だけではなかなか実行しづらい喫煙を管理してもらう目的もあります。
厚生労働省が定める「節度ある適度な飲酒」は、純アルコールで1日20g程度です。ビールなら中瓶1本、アルコール35度の焼酎で1合(180mL)、ワインなら1杯(120mL)程度を目安とし、週に2日程度休肝日を作ると良いとされています。
ただし、お酒を少し飲んだだけで頬が赤くなるような人や、女性、年齢が65歳を超える人では、アルコール分解酵素が少ないと考えられるため、もう少し少ない量を目安とすることが推奨されています。また、お酒を飲むときはゆっくり時間をかけて飲むことも、少量で肝臓や胃に負担をかけずに飲酒する方法です。
生活習慣病の予防には、適度な有酸素運動がおすすめです。運動の習慣がない、時間がない人では、通勤や買物などの外出時にできるだけ歩く、階段を使うなどの方法で運動量を増やすことも効果的です。運動を始めるなら、ウォーキングが最も手軽にすぐ始められます。姿勢をよくし、できるだけ大股で早歩きを心がけましょう。
質のよい睡眠を取るためには、寝る前に強い光を浴びない(寝る前にはスマホやPCなどを避ける)、部屋の明かりを間接照明にするなどしてリラックスすることを心がける、などが効果的です。最適な睡眠時間についてはいろいろな説がありますが、6時間以上取るのが理想的と言われています。
また、夜間に十分な睡眠が取れない場合、昼間に15〜20分程度の昼寝をするとカバーできると言われています。昼休みなど、上手に睡眠を補充しましょう。
心身の疲労を感じたときは、無理せず休養を取りましょう。心の疲労はなかなか自分で気づきづらいものですが、一人で抱え込まず、身近な人に相談したり、ただ話したりすることも大切です。
すぐにできるストレス対策には、深呼吸やストレッチがあります。ストレスがかかると自然に呼吸が浅くなったり、体がこわばったりしてしまうため、深呼吸やストレッチで十分に酸素を取り込み、筋肉の凝りをほぐすだけでもリラックスにつながります。
三大生活習慣病は、その名称通り、日頃の生活を見直すことでリスクを下げることができます。具体的には、運動不足や偏った食生活を避ける、適度な飲酒、禁煙などを心がけましょう。日常生活の中でちょっとした工夫や改善を行い、三大生活習慣病にかかるリスクを健康的に減らしていきましょう。
この記事の続きはこちら