生活習慣病を引き起こす原因ってどんなものがあるの?

2018/10/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

普段何気なくしている食事や喫煙といった行動は、実は「生活習慣病」と深い関わりを持っています。 近ごろ不調を感じているようでしたら、自分では気がつかないうちに習慣化した行動の影響が出ているのかもしれません。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

生活習慣病とは

「生活習慣病」とは、日々の食事や運動などの生活習慣が病気の発症や進行に関わっていることをいいます。特に以下4つの生活習慣はいくつかの疾患に大きく関係していると考えられています。

食生活
肥満、高血圧高脂血症糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脂肪肝、歯周病、痛風、がんなど
喫煙
肺気腫、がん、狭心症、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧、慢性気管支炎、歯周病など
飲酒
肝硬変、脂肪肝、糖尿病など
運動
肥満、高血圧、高脂血症など

日本は平均寿命が長いといわれていますが、生活習慣病に罹ると「健康寿命(心も体も健康的に生活できる期間)」を短くしてしまうおそれがあります。

たとえば食べ過ぎによる肥満は心臓や腰とひざに負担をかけます。さらに糖尿病や高血圧など複数の生活習慣病を引き起こす可能性も小さくありません。なんらかの生活習慣を原因にしてがんを発症した場合は、生命を脅かすこともありえます。

生活習慣病は健康寿命に影響を及ぼしますが、徐々に進行することが特徴です。上記に挙げた4つの習慣のほか、睡眠や過労・ストレスの蓄積も原因になります。ちょっとした習慣でも積み重ねていくうちに生活習慣病のリスクを上げてしまうのです。

生活習慣病の原因はやっぱり食事?

食生活を原因とする生活習慣病は多いです。なかでも血圧、血糖値、脂質は食生活によって大きく変動します。健康診断でこれらの項目に異常が見つかったところ、食生活改善を指導されたという人もいるでしょう。それではどんな食生活が生活習慣病を招くのか紹介します。

生活習慣病を招く食生活をチェック!

  • 味付けは濃いもの、しょっぱいものを好む
  • 野菜をあまり食べない、または肉や魚をあまり食べない
  • 外食やコンビニ弁当が好きで自炊はあまりしない
  • 加工食品をよく食べる
  • 食事をとる時間帯がバラバラだ、夜食を食べることが多い
  • お腹いっぱいまで食べてしまう
  • よく噛まずに早食いする

以上の項目に当てはまるものが多かった人は、塩分の過剰摂取、栄養バランスの偏り、食べ過ぎ(摂取エネルギーの過多)、血糖値のコントロールができないなど生活習慣病のリスクが上昇している可能性があります。

タバコやお酒も生活習慣病の原因になる?

タバコにはニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質が含まれています。生活習慣病と高い関連性を持つのがニコチンと一酸化炭素で、血管や血液の流れに悪影響をもたらします。「日本生活習慣病予防協会」によると、喫煙は体に以下の変化を生じさせます

ニコチン
強い血管収縮作用を持ち、血圧の上昇や血行悪化を引き起こす
一酸化炭素
体内の酸素不足を引き起こし、血液がドロドロの状態になる

また、アルコールの飲みすぎは肝臓や血圧、糖の代謝に影響を与えます。厚生労働省は健康を守るための「節度ある適度な飲酒」として一定の目安を数字で示しました。

節度ある適度な飲酒量

  • 一日のアルコール摂取量が60g以下であること
  • 350mlのビールは3本まで
  • 日本酒は3合まで
  • 350mlのチュウハイ(7%)は3本まで
  • ウイスキーダブルは3杯まで

これはあくまで飲み過ぎないための目標値ですので、目安量ギリギリまでなら飲酒しても安心というわけではありません。飲酒量は個人の体質や体調に合わせ、体に負担をかけない程度にしてください。

厚生労働省ホームページを編集して作成 】

運動不足も生活習慣病の原因に

運動不足は肥満や動脈硬化などのリスクを上昇させます。運動量が低下すると、食事で取り入れたエネルギーが十分に消費されず、余ったエネルギーが蓄積した結果、肥満を引き起こします。そのほか血圧や血糖値にも影響をもたらし、動脈硬化の原因となる可能性があります。動脈硬化は脳梗塞や狭心症、心筋梗塞につながる場合もあり、運動不足をきっかけにしてさまざまな病気に罹るおそれがあるのです。

予防としておすすめなのは、有酸素運動を日常に取り入れることです。軽めのウォーキングなどで体を動かすと、運動不足解消だけでなくその日の睡眠の質も上がります。

生活習慣病を予防する有酸素運動

  • 週に3日以上、一回で30分程度を目標に体を動かす
  • ちょっとした移動は徒歩でする。例)電車通勤のうち一駅分は歩く
  • エレベーターより階段を利用する
  • 休日は散策やショッピングなど外に出かける

おわりに:食生活・喫煙・飲酒・運動はよい習慣を身につけて

生活習慣病は放っておくとさらなる疾患に進行する危険性を持ちます。予防で大切なのはよくない行動を習慣化させず、健康的な行動を生活に取り入れることです。今までのライフスタイルをいきなり変えることは難しいので、少しずつ始めていきましょう。

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