記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「血管年齢」を測定したことはありますか? もし血管年齢が実年齢よりもかなり高いという場合、原因として「生活習慣病」が考えられます。血管年齢と生活習慣病の関連性について、以降で解説していきます。
血管年齢とは、血管のしなやかさ・硬さを基準とした血管自体の年齢のことです。血管の老化、つまりは「動脈硬化」(血管が硬くなること)の指標にもなります。
血管年齢は、実年齢を重ねるごとに徐々に高くなっていきますが、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病も血管の老化を促進する主要因です。これらの生活習慣病は、欧米型の食事や運動不足などの生活習慣の乱れによって発症する病気で、事実、食生活が乱れがちな現代人は、実年齢より20歳近く血管年齢が高くなっているケースも少なくありません。特に、生活習慣病を複数抱えている「メタボリックシンドローム」の人は、血管が老化しやすいとされています。
メタボリックシンドロームは、ウエストが男性は85cm以上、女性は90cm以上であり、糖尿病・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上の症状が出ている人が該当するのですが、これら3つの病気はいずれも血管の老化と深く関連しています。
例えば脂質異常症の人は、悪玉コレステロールや中性脂肪などの脂質が血中で増加している状態なのですが、老化してもろくなった血管は、内膜に小さな傷や隙間が発生しているために、ここにLDL(悪玉)コレステロールなどが沈着しそれをマクロファージが貪食し炎症が生じることでプラークを形成します。このプラークは血管内を狭め、血栓も発生しやすくするために、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発症リスクを高める原因となります。
そして高血圧は、血中の脈圧を高めるために老化した血管にさらにダメージを与え、さらに糖尿病による高血糖では、ブドウ糖の血中濃度が持続的に上がるために血管内皮のさらなる障害につながります。このように、生活習慣病は血管の老化―血管年齢の上昇と大きく関連しているのです。
生活習慣病やメタボリックシンドロームと診断されている人はもちろん、食事内容などの生活習慣が乱れがちな人も血管年齢が実年齢よりもだいぶ高くなっている恐れがあります。
以下に該当する項目が多い人は、いまから食生活を見直したり、運動習慣を身につけたりするようにしましょう。
生活習慣病である脂質異常症や高血圧、糖尿病などは、いずれも血管年齢の老化と深く関連しています。健康診断でメタボと診断された経験のある人は特に、生活習慣の改善に努めましょう。
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