記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
メタボの主原因は食べ過ぎや運動不足ですが、残業続きの毎日も、これらの生活習慣の乱れを招く要因のひとつといわれています。では、残業によるメタボを予防・改善するには、どんな対策をすればいいのでしょうか。
慢性的に残業が続いている人は、夕食が遅い、間食が増える、偏食や運動不足によって筋肉量や基礎代謝が低下する、といった理由でメタボリックシンドローム(以下、メタボ)の発症リスクが高いことがわかっています。では、この残業によるメタボを予防・改善するには、どういったことに気をつければいいのでしょうか。
夜遅い時間に帰宅し、高脂肪や高カロリーな夕食をとることが習慣化してしまっている場合、消費されない余分なエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。夜遅い夕食は極力控え、できれば19時ぐらいまでにオフィス内で夕食を食べてしまうのがおすすめです。摂取量は腹八分目に抑えてください。
「帰宅後どうしてもおなかが空いてしまう」「夕食が待てず、ついつい間食をしてしまう」という方におすすめの方法が、夕食を2回に分けて食べるという方法です。おにぎり1つなどの軽食を18時頃にまずオフィスで食べ、帰宅後に自宅でおかず類を食べるという感じにしましょう。ただし、食べ過ぎには注意を。
残業が多い方は、疲れて朝なかなか起きられず、朝食を抜いてしまうことがあります。また、夜遅くの食事で太らないよう、夕食を抜いたり、過度に量を減らしたりして調整しようとする方も少なくありません。しかしこの方法では、筋肉量や基礎代謝が落ちてしまい、かえって脂肪を溜め込みやすい体になってしまいます。毎日三食、適量で栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
残業が多い方は夕食が遅くなったり、座りっぱなしで運動不足がちだったりするため、同じ食事をとっていても太りやすい傾向にあります。筋肉量や基礎代謝を維持するために、エスカレーターではなく階段をつかったり、一駅分歩いたりと、日々の中でプチ運動を少しずつ取り入れましょう。
ただ、上記のような個人規模のメタボ対策では、どうしても限界があります。中には「上司や同僚の目が気になって、オフィス内で夕食が食べづらい…」という方もいらっしゃるでしょう。この点に関しては、総務部などの管理側が「遅い時間の勤務の場合、夕食用の休憩時間を付与する」といったガイドラインを作成し、社員が補食をしやすい職場環境づくりを整えていくことが大切です。
あとは、会社として夕食の宅配サービスを導入し、それを社員全体に通達することによっても、オフィスでの夕食への罪悪感は緩和されやすくなります。なお、なるべく健康志向の宅食サービスのほうが、社員ひとりひとりのメタボ予防・改善の効果を見込みやすくなります。
そして何といっても、会社全体として残業時間の削減に取り組むことも欠かせません。「残業を減らしても業績低下にはつながらない」という報告もされているので、定時内で効率よく仕事を処理できるような業務フローをきちんと考え、職場体制を見直していきましょう。
長時間の残業は社員ひとりひとりの健康を損なわせるだけでなく、社員の欠勤や休職、退職など会社としての損失にもつながります。食事内容や食事時間への注意など、個人でできるメタボ対策だけでなく、会社全体が残業削減に取り組み、社員の健康をサポートしていくことが大切です。
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