階段を上がると息切れするのは運動不足のせい?それとも病気?

2018/11/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

健康な人であっても、激しいスポーツを行えば息切れを感じます。また、運動不足の方は、階段を駆け上ったりすれば息切れを感じるでしょう。ただ、安静にしていれば息切れはおさまるので、そうでない場合はもしかしたら呼吸器疾患や循環器疾患といった病気が関係しているかもしれません。今回は、この息切れについて詳しく解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

階段や坂道で息切れする原因は?

息切れとは、呼吸が激しくなり、苦痛や不快感を伴う状態をいいます。激しい運動をしたり、坂道を上ったりしたときに、「ハァハァ」と息があがり、呼吸が速くなるかと思います。このように呼吸のために努力が必要な状態のことを「息切れ」といいます。この息切れは、運動以外にもさまざまな原因で起こるので、以下でその原因について確認してみます。

運動不足や筋力低下による息切れ

緩やかな坂道や階段を上っているだけで、息切れを伴うという方もいるかと思います。その場合、もしかしたら運動不足が関係しているかもしれません。運動不足が続き、筋力が低下すると、軽い動作や運動をしただけで乳酸が作られてしまいます。乳酸が増えると血液が酸性に傾いてしまうので、それを解消させるために呼吸数が増えてしまうのです。

肥満による息切れ

肥満体型の人は痩せている人に比べて、身体を動かす際により多くのエネルギーが必要です。その際、心臓から沢山の酸素を送る必要があり、そのときに心臓へ大きな負担がかかってしまいます。また、十分な酸素量を補おうとした結果、息切れが起きてしまいます。

過労やストレスなどに伴う息切れ

息切れの原因には過労やストレスなどが関係している可能性もあります。本来、自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを保っています。しかし、ストレスなどによってこのバランスが乱れてしまうと、呼吸が速くなり、それに伴って息切れも生じる場合があります。

息切れを解消するために、普段から気をつけるといいことは?

日常的な息切れを解消するためには、日ごろから食事面と運動面に気をつけることがポイントです。以下ではポイントを紹介するので、普段から意識すると良いかと思います。

心臓への負担を減らすために、塩分を控えめにする

食事面では、まず「塩分の摂取量を減らす」ことが大事です。塩分を多く摂取すると心臓に負荷がかかり、それが息切れへと繋がってしまいます。そこで、減塩しょうゆを使ったり、調味料にお酢などを使ったりして、なるべく塩分の摂取量を控えるようにしましょう。

また、お酒には血圧を高くする働きがあり、たくさん飲むと心臓に負荷がかかります。そのため、ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度を目安にするといいでしょう。そのほか、カフェインの摂り過ぎにも注意をしてください。

筋力の低下を防ぐために、日頃から運動をする

運動不足の状態が続くと、筋力が落ちてしまい、少しの運動でも息切れを起こしてしまいます。そのため、適度な運動に取り組み、運動不足の解消を目指すのもオススメです。目安としては、週3回以上、1回あたり20分~1時間程度を意識すると良いかと思います。

なお、急に激しい運動をしたり、体調が悪い中で運動をしたりすると、身体によくない場合もあります。そのため、体調などに合わせて運動量を調整したり、休憩したりして、無理なく運動を続けるようにしてください。

その他、禁煙に努めたり、ストレス発散もオススメです

そのほかにも、日常的な息切れを解消するためには、たとえば、禁煙に努めたり、ストレスをためないようにしたり、寒暖差に気をつけたりすることも必要です。これらに注意することで、心臓への負担を軽減でき、その結果、息切れの解消を期待することができます。また、禁煙に努めることで、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の悪化を防ぐことにも繋がります。

気をつけて!息切れが病気のサインになっていることも…。

息切れは運動や過労、ストレスなどによって起きている場合もありますが、中には病気によって起きている可能性も考えられます。息切れを伴う病気には、主に呼吸器疾患や循環器疾患などがあり、具体的には以下のような病気があります。

呼吸器疾患
COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎、気管支炎など
循環器疾患
不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全など

そのほかに、神経筋肉疾患、精神疾患、血液疾患などが息切れと関係している場合もあります。もし軽い動作や運動で息切れを起こしたり、安静にしていても息切れが続いたりする場合は、一度、病院へ受診するといいでしょう。

貧血になると息切れしやすくなるって本当?

貧血とは、赤血球やその中のヘモグロビンの量が減少した状態のことです。貧血を伴う代表的な病気には鉄欠乏性貧血があり、この病気は一般的に「鉄分不足によって発症する」と知られています。そのほか胃潰瘍、子宮内膜症、慢性腎不全などでも貧血が見られます。

こういった病気に伴って貧血が起きると、血液中の酸素が不足してしまいます。その貧血がさらに酷くなると、息切れなどの症状を伴う場合があるのです。

おわりに:ツラい息切れに悩まされていたら病院へ

息切れにはさまざまな原因があり、息切れを予防するためには普段から良い生活習慣に取り組むことが重要だといえます。ただし、中には病気が原因の息切れもあるので、もし不安や心配があれば、我慢せずに早めに病院を受診するといいでしょう。そして、しっかりと診察・検査を受けて、必要な治療などを受けるようにしてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

肥満(82) 不整脈(49) 息切れ(33) 肺炎(36) 狭心症(44) 運動不足(15) 慢性閉塞性肺疾患(7) COPD(10)