記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
難病の一種「クローン病」を発症した場合、どんな症状が現れるようになるのでしょうか。また、治療はどのように行われていくのでしょうか。クローン病の症状の特徴や治療法について、解説します。
クローン病は、小腸や大腸、口腔などに炎症が起こる病気です。口腔から肛門まで、「消化管」といわれているあらゆる場所に炎症や潰瘍が発生します。そのため、痔などの肛門の異常で診察を受けたとき、胃カメラを飲んだときなどに、この病気だと判明することがあります。
10代後半から20代といった若年層がかかりやすい病気で、男性は20~24歳、女性は15~19歳が発症のピークといわれています。また、2:1の割合で男性のほうが患者数が多いのですが、その理由は明らかになっていません。
クローン病では、消化器に炎症や潰瘍といった異常が起こっているため、腹痛や肛門痛といった痛みの症状があります。はじめは「何となく痛い」という程度かもしれませんが、胆石や尿路結石、痔や痔瘻などの合併症、あるいは腸の狭窄を引き起こしてしまうと、悶えるような激痛になるかもしれません。痛みとともに、発熱もあるでしょう。
また、小腸や大腸の壁に潰瘍ができることで、消化・吸収を満足に行うことができず下痢を起こします。体重が減少したり、血便がでたりすることもあります。
痛みやそのほかの不調は、たとえ一度は治まったとしても、繰り返しあらわれます。そして、重症になると、腸と腸、あるいは腸とほかの臓器がくっついてしまう「瘻孔(ろうこう)」など、完治するのが難しい腸や肛門の病気になる可能性もあるのです。そうなると、人工肛門を造設することでしか対処できないケースなどもでてきてしまいます。
クローン病の治療には、栄養療法や薬物療法といった内科的アプローチと、手術による外科的アプローチが用いられます。患者さんの症状によって、どちらかを選択したり、あるいは組み合わせたりして治療にあたるのです。また、基本的には完治するのが難しいため、症状が落ちついた状態である寛解を目指していくことになります。
栄養療法の場合、通常の食事を少し減らし、その分を栄養剤におきかえます。クローン病の炎症は、身体の免疫システムが食べ物を異物としてみなすことによって起こると考えられているからです。栄養療法に取り組む際、食べてはいけない食べ物などは特にありません。しかし、自分の状態をよく観察し、相性の良くない食べ物を把握することがとても大切です。
薬物療法の場合、ステロイドや免疫調節剤、5-ASA製剤などを用います。近年では研究が進み、効果的な薬剤も数多く導入されました。たとえば抗TNF-α抗体と呼ばれる薬が2002年以降盛んに用いられ、潰瘍の完全消失をも可能にしています。また、栄養療法と薬物療法をあわせて行うことで、さらに効果が上がるという研究報告もあるようです。
クローン病では、消化器に炎症や潰瘍といった異常が起こります。腹痛や肛門痛、下痢、血便、発熱などの症状があり、重症になると胆石や尿路結石、痔や痔瘻などの合併症、あるいは腸の狭窄を引き起こしてしまうこともあるでしょう。これらの不調は、たとえ一度は治まったとしても、繰り返しあらわれます。栄養療法や薬物療法、あるいは手術などの治療手段を用いて寛解をめざしましょう。
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