記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
臓器の中でもあまり目立たない「膵臓」。この膵臓は、体のどの位置に存在するのでしょうか。また、どんな働きを担う臓器なのでしょうか。全般的な情報を解説していきます。
膵臓(すいぞう)は、みぞおちとへその間の高さくらいにあります。前には胃があり、胃の下の方に隠れています。
膵臓は15〜25cmと左右に細長い臓器で、右側にある部分はふくらんでおり、左側の部分は細くなっています。ふくらんでいる部分は、小腸の胃側の部分である十二指腸(じゅうにしちょう)に囲まれています。膵臓のある位置は、血管や神経、リンパ管が集まる場所でもあります。
膵臓には、交感神経と副交感神経があり、これらが膵臓の働きを調整しています。また、痛みを伝える神経もあるため、慢性膵炎など、膵臓に何らかの異常があると痛みとしてあらわれることもあります。
膵臓は、食べ物を消化するための膵液(すいえき)という液体を作っています。膵液は無色透明で、健康な人ではサラサラとしており、膵臓から分泌した消化酵素が含まれています。膵臓には、膵管(すいかん)という細長い管があり、膵液は膵管を通って十二指腸に分泌されています。
膵臓は、何らかの機能異常が起こっても、自覚症状がなかなか起こりづらい臓器です。健康診断で糖尿病を指摘されて、初めて膵臓の異常に気づくということもあります。また、いったん組織が壊されてしまうと、再び健康な元の状態に戻るということはありません。
膵臓の働きには2種類あります。ひとつは内分泌機能といい、インスリンとグルカゴンというホルモンを分泌しています。インスリンは血糖値を下降させ、グルカゴンは血糖値を上昇させるという反対の作用をします。この2つのホルモンによって、体内の血糖値がある程度の濃度に保たれているのです。
もうひとつの働きは外分泌機能といい、食べ物を分解する働きをする消化酵素を分泌しています。消化酵素は唾液のほか、胃液、腸液などさまざま消化液に含まれています。前述のとおり、膵臓から分泌される消化液は膵液といい、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼ、炭水化物を分解するアミラーゼといった消化酵素を分泌しています。
こうした機能を担う膵臓に何らかの異常が生じるということは、内分泌機能と外分泌機能の2つの働きが障害されるということです。血糖値のコントロールが難しくなる糖尿病になったり、消化酵素が膵臓そのものを溶かしてしまう急性膵炎や慢性膵炎、消化不良によって栄養障害が生じたりすることがあります。
膵臓は、内分泌機能と外分泌機能という2つの機能をもち、食べ物を分解するための消化酵素を分泌したり、血糖値のバランスを保つホルモンを分泌したりと、人間の体を維持していくために大切な働きを担っています。一度壊れると元には戻ることができない重要な臓器なので、生活習慣を整え、負担がかからないようにしましょう。
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