記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
誤嚥性肺炎は飲食物などが誤って気管に入ることで起きる病気です。今回はこの誤嚥性肺炎になったときに出る症状や、適切な対処法を解説します。
食道を通るはずの唾液や飲食物などが気管に入った場合、反射機能が働いてむせます。むせることで気管に入った物が出る仕組みです。しかし、反射機能が鈍ると気管に入った物を出すことができず、肺炎を起こす場合があります。これが「誤嚥性肺炎」です。
誤嚥性肺炎は高齢者に多い疾患ですが、健康な人も眠っている間に、無自覚に唾液などを誤嚥することがあります。これを不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)と呼びます。
また、唾液や痰なども誤嚥性肺炎の原因となるので、胃に直接チューブを入れて栄養物を送り込んでいる状態の方でも、誤嚥性肺炎を起こす場合があります。
誤嚥性肺炎になると発熱などの症状が出ます。
誤嚥性肺炎になると38℃以上の熱が出たり、熱が長期間続いたりします。毎日同じ時間に熱が出る場合も、誤嚥性肺炎の可能性があります。また、激しい咳が出ることが多く、黄色く粘り気のある痰が出ます。症状が風邪と似ているため判断が難しいですが、このような症状が出た場合、誤嚥性肺炎の可能性が高くなります。
高齢者は誤嚥性肺炎にかかっても、熱などの症状があまり出ないことがあります。日頃から様子を見て、「今日はちょっと違うな」といった兆候があれば、すぐに病院に行きましょう。
誤嚥性肺炎を防ぐには、誤嚥をしないようにすることが重要です。
「意識があるか?」「呼吸は正常か?」を確認し、落ち着いて対処を行いましょう。
誤嚥した物がさらに奥へといかないように、座ってうつむいた状態にするか、横向きで寝かせます。
できるだけ強い咳をします。誤嚥した人に「咳をして!」と伝え、思い切り咳をさせましょう。
口を開けると詰まった物が見える場合は、喉の奥に入り込まないように体を横向きにします。そして指でかき出しますが、他人に行う場合は噛まれないようにタオルなどを手に巻いてから行いましょう。
窒息状態なら、背部叩打法(はいぶこうだほう)を行います。うつむかせて、片手をへそより上部に当て、もう片方の手を背部に回し、手の平の部分で肩甲骨の間を殴打します。強めに4~5回叩き、口の中に詰まった物が出てきたら、タオルを巻いた指で取り出します。
咳き込めない、咳き込んでも出ない場合や、どうしても詰まった物が取り出せない場合は、速やかに救急車を呼びます。
誤嚥が起きたときは大変苦しいので慌ててしまいますが、本人も家族もできる限り落ち着いて対処することが肝心です。①~⑥までの対処が難しい場合は、すぐに救急車を呼ぶのが大切です。落ち着いて状況などを救急隊員に説明しましょう。
なお、誤嚥を予防するには、日頃から食べることに集中し、ゆっくり食べることが肝心です。また、夜間に咳き込むことが増えたら早めに受診することも予防に繋がります。
高齢者は発症リスクの高い誤嚥性肺炎。日頃から慌てて飲み込まないように心がけると共に、誤嚥性肺炎の症状が少しでも出た場合は、すぐに病院で診察を受けましょう。特に高齢者は症状の変化に鈍くなりがちなので、周りの人が様子を見ておくことが肝心です。
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