記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腹痛や下痢が続き、出血を伴うおそれもある「潰瘍性大腸炎」は、重症化すると発熱や体重減少などさまざまな不調を引き起こします。日本では人口10万人あたり100人ほどの患者数がいる病気ですが、治療にはどのような方法があるのでしょう。
潰瘍性大腸炎は食べものの消化に携わる大腸の粘膜に、びらん(粘膜の欠損、ただれなど)や潰瘍ができる炎症性疾患で、厚生労働省が指定する特定疾患のひとつです。原因は解明されておらず、完治を叶える治療法はまだありません。しかし炎症を抑える治療法はあり、患者さんは医師と相談のうえ治療法を選択し症状をコントロールしていきます。
治療は内科での薬物療法から始まりますが、重症の場合や薬の効果があまりみられないと手術が必要となります。
手術療法では大腸の摘出を行うことが一般的です。手術の課題は肛門機能(排便方法)をいかにして残すか、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をどのような方法で守るかという点にあります。症状の程度、患者さんの体力、ライフスタイルなどを総合的に判断して手術を検討します。
手術をしてから日常生活に戻るまでは一定の時間を要します。まず術後一週間は絶食となります。手術をした箇所の状態を確認しながら様子をみて、問題がないようなら食事を開始します。ただし食事量の回復は流動食から始め、少しずつ量を増やします。
全粥で問題がなければ退院となり、食事は通常食を開始します。順調に経過が進めば、2週間ほどで退院となります。退院後2~4週間の間に職場復帰される患者さんが多いです。
また、大腸の機能が失われているため、治療前後で排便の方法が変わります。術後は手術で作った回腸嚢で便を排出する場合、排便回数が増えたりまれに便のもれがみられます。このため、排便が一日に5~7回になる人も少なくありません。
人工肛門が一時的なものなら、傷口の回復などをみて人工肛門を外すケースがあります。症状や体調によって術後の経過は変わりますので、不安なことがあったら医師に相談しましょう。
また潰瘍性大腸炎の手術では、合併症が起こる可能性があります。代表的な合併症の例を紹介します。
潰瘍性大腸炎の治療は、まずは薬物療法からスタートします。ただし症状の程度によっては手術が必要です。手術は大腸を摘出するものであり、体やライフスタイルへの影響は小さくありません。ご自身のこれからの人生のためにも、医師としっかり相談し、適切な治療方法を選択してください。
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