記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
暴飲暴食などが原因で起こる胆嚢の病気は、大人が発症するというイメージが強いですが、子供でも胆嚢の病気になること、ご存知でしたか?以降では子供の胆石について、原因や症状、治療法などをお伝えしていきます。
胆石による胆嚢炎など胆嚢(たんのう)の病気は、もともと脂肪のとり過ぎやアルコールの飲み過ぎ、過剰なストレス、睡眠不足、運動不足などの乱れた生活習慣が原因となっていることが多く、成人では頻度の高い病気です。
しかしこれまで、ウイルス感染などが原因となって発症する場合はあるものの、子供にはとてもまれな病気だと考えられてきました。ところが近年、食生活の欧米化や検査技術の進歩、超音波検査の普及にともなって、子供の胆石は増加傾向にあるといわれています。
症状としては、一般的に、腹痛、嘔吐、黄疸、発熱などがあらわれますが、原因となっている病気によって異なる症状があらわれる場合もあります。子供に気になる症状があれば、まずは病院で診察を受けるようにしましょう。
まず原因として考えられるのは、合併症としての発症です。
様々な原因によって赤血球が破壊されて貧血を起こす「溶血性貧血」、特にその一つであり先天性の溶血性貧血である「遺伝性球状赤血球症」は、胆石症を合併することの多い病気です。
顔色が悪くなり、むくみやめまい、息切れ、食欲不振、動悸、微熱のほか、長く続くとお腹が張ったような症状がでることもあります。
また、胆汁の十二指腸への通り道となる総胆管が全体的あるいは部分的に袋状またはびん状に拡張する「総胆管拡張症」が原因となる場合があります。
多くの場合先天的なもので小児期に発症することが多く、胆管がんや胆嚢がんの発生確率も高くなるといわれています。乳児期では灰白色の便が兆候となりそれ以降ではおう吐を繰り返すことがあります。そのほか、胆嚢に細菌やウイルス、寄生虫などが入り込み炎症を起こす「胆嚢炎」、高カロリーの輸液を長期にわたって行うことで胆汁の流れが悪くなる「高カロリー輸液施行」が原因となる場合がありますが、原因がわからない場合も少なくありません。
治療は成人の場合と同様、大きく内科的治療と外科的治療に分けられ、結石が小さい場合には、主に食事療法や鎮痛剤、利胆剤、胆石溶解剤などを用いた内科的治療が行われることがあります。
しかし一般的には、外科的治療として胆嚢摘出術が行われます。従来型の開腹して胆嚢を切除する「開腹胆嚢摘出術」と、腹腔鏡下手術でお腹の中を観察しながら胆嚢を切除する「腹腔鏡下胆嚢摘出術」がありますが、炎症や周囲の臓器との癒着がひどい場合やがんを合併している疑いが強い場合などを除き、最近では腹腔鏡下胆嚢摘出術が一般的となっています。
小児期に胆嚢を切除しても特に合併症はなく、術前と同様の生活を送ることができます。
子供の胆嚢の病気はまれといわれてきましたが、現在では食生活の欧米化や検査技術の進歩・普及により増加傾向にあるといわれています。腹痛、嘔吐、黄疸、発熱などがあらわれることが多く、他の病気が隠れている場合もあります。気になる症状があれば早目に病院で検査を受けるようにしましょう。
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