記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断のときや、生活習慣病特集のテレビや記事などで目にする中性脂肪という言葉。聞いたことはあっても、数値の変化による身体への影響について、きちんと理解できている人は少ないのではないでしょうか。今回は中性脂肪とは何か、数値上昇によって起こる身体への影響などを解説します。
中性脂肪は、脳や体を動かすための主なエネルギー源であるブドウ糖が体内に不足した場合に備え、肝臓で糖から合成され、皮下脂肪として蓄えられるものです。日々の食事から摂取したエネルギーが余ったときに肝臓で生成され、一時的なエネルギー不足や飢餓に備えて常備されている、非常用のエネルギーなのです。
ただ、中性脂肪は余ったエネルギーの分だけ生成・蓄積されるため、増えすぎると脂肪肝や肥満を引き起こす原因となってしまいます。
体内にどのくらいの中性脂肪が蓄えられているかは、血液検査で調べることができます。一般的に、血液1dlあたりに50~149㎎が中性脂肪の基準値で、この数値内であれば正常で問題のない量と判断されます。
中性脂肪が増えすぎてしまう原因は、大きく生活習慣や生活習慣病に関連するもの、遺伝や体質に影響されるもの、別の病気と関連するものの3つに分類できます。
中性脂肪値を高める3種類の原因の具体例は、それぞれ以下の通りです。
日ごろの食習慣や生活習慣、また生活習慣の乱れが一因となって起こる生活習慣病と関連して、高中性脂肪状態になることは多いです。
一般的に、中性脂肪値が上昇しやすい体質は遺伝性が高いと考えられています。遺伝特性から中性脂肪値が上がる人を原発性と呼び、以下の特徴を持つ人があてはまります。
生活や食事の習慣でも遺伝の影響でもなく、まったく別の疾患が原因で中性脂肪が増えすぎてしまうパターンも報告されています。
上記のうち、食事や生活習慣に関連する原因の中性脂肪値の上昇なら、軽度のうちであれば日々の習慣を見直すことで改善できます。ただし、体質やほかの病気と関連した中性脂肪値の上昇を改善するには、医師による原因の特定や適切な治療が必要です。
ここからは、食事や生活習慣で中性脂肪値が上昇している場合に、中性脂肪を減らすために日々の食生活で気を付けるべきことを解説します。以下のポイントをしっかり確認して、できるところから毎日の習慣を見直しましょう。
ひと口ごとにゆっくりよく噛んで味わい、以下の計算式を参考に身長に見合った体重をキープできるよう、適量・控えめな食事量を心がけましょう。
糖質の多い炭水化物や果物、バターや脂質の多いお菓子類、脂身の多い肉や揚げ物など、中性脂肪を増やす原因となる食物は、意識的に食べる量を減らしてください。
逆に、糖質や脂質の吸収を抑える食物繊維が豊富な海藻・キノコ類・根菜類は積極的に食べるようにして、糖と脂質の排出を促すとよいでしょう。
1日当たりの飲酒量は適量とされるビール大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度にとどめ、糖の過剰摂取と肝臓の疲弊を防いでください。
また、夜遅くの飲酒とおつまみの摂取は飲みすぎ・食べ過ぎにつながりやすく危険です。飲食をするのは、就寝の2時間前までと決めておくと良いでしょう。
中性脂肪は、日々の食事から余ったエネルギーを非常用の予備エネルギーとして変換し、肝臓や皮下脂肪として蓄えておいたものです。人体の生命維持のために必要な機能ですが、血液1dlあたりに50~149㎎の基準値を超えるほどに増えすぎると肥満や脂肪肝を招き、命にかかわる重大な疾患の原因となる可能性もあります。健康のためにも、中性脂肪値が基準値以内になるよう、日ごろから食事や生活の習慣に気を付けておきましょう。
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