くも膜下出血を予防するために気をつけることは?

2019/1/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

命にかかわる恐ろしい脳の病気として知られる「くも膜下出血」。発症を予防するために、日ごろからできる対策は何かないのでしょうか。
今回はくも膜下出血になりやすい人の特徴や、予防するために日ごろから気を付けるべきこと、脳ドックの重要性についてご紹介します。

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くも膜下出血になりやすいのはどんな人?

くも膜下出血を発症しやすい人の特徴は、以下の通りです。

高血圧状態である
血管や動脈瘤にかかる負担が大きくなる高血圧の人は、そうでない人に比べて男性では2.97倍、女性では2.70倍もくも膜下出血になりやすいとされています。
喫煙者である
詳しい因果関係はまだわかっていませんが、少量でもタバコを吸う人はそうでない人に比べて、2.2~3.6倍もくも膜下出血になりやすいといわれています。
家族や親せきに、くも膜下出血になった人がいる
脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など脳卒中の体験者が家族・親戚にいる人は、そうでない人に比べて約2倍、くも膜下出血を発症するリスクが高くなります。
過去に輸血をした経験がある
直接的な因果関係は未だ不明ですが、輸血経験者はそうでない人に比べ男性で4.20倍もくも膜下出血発症のリスクが高くなることがわかっています。
慢性的なストレスや、更年期障害を実感している
強いストレスや更年期による性ホルモンの減少は、血管を傷つけてしまうため、くも膜下出血の発症リスクを高めると推測されています。

上記のうち、当てはまる項目が多ければ多いほど、くも膜下出血になりやすい状態・体質の人であるといえるでしょう。

くも膜下出血を予防するために、日常生活で気をつけることは?

くも膜下出血を予防するには、日ごろから以下の項目に留意して生活習慣を見直し、自らの体調を観察し続ける必要があります。

  • 血圧の上昇や乱高下など、血圧の測定と管理に努める
  • 高血圧を招く塩分の多い食事を控え、薄味でバランスの良い食事を心がける
  • 塩分の排出を促すため、カリウムの多い野菜を多めに食べるようにする
  • くも膜下出血発症リスクを高めるといわれるアルコールは、少なめに摂取する
  • 少しずつ減煙し、禁煙に向けて努力する
  • 突然の頭痛や頭の違和感、目の痛みなどくも膜下出血の前兆を見逃さない

血圧の測定以外は、特別な器具や設備がなくても、毎日心がけるだけで実践可能です。自分にできそうなところから、できるだけ早く生活に取り入れてください。

定期的に脳ドックを受けて、くも膜下出血を予防しよう!

前項で述べた生活習慣と健康管理のほかに、定期的に脳ドックを受けるのも、くも膜下出血の予防にとても効果的です。

脳ドックとは
脳や脳血管の異常や、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などの異常を早期に発見・治療買いする目的で行う、脳中心の健康診断のこと。
MRIやMRAなどの医療機器を駆使し、くも膜下出血の兆候や、原因となる脳動脈瘤の有無や位置・大きさの特定まで行う。

脳神経外科のある病院などで受けられますので、興味がある人は調べておきましょう。

おわりに:くも膜下出血の予防には生活の見直しと健康管理、脳ドッグが効果的

くも膜下出血を発症する原因は人によって異なりますが、代表的なものでは高血圧や喫煙習慣、遺伝的な要因や輸血経験、ストレスなどが挙げられます。このため発症を予防するには、減塩・禁煙を主とする生活習慣の見直しと血圧の管理、前兆を見逃さないための健康管理が重要になります。また、あわせて定期的に脳の健康診断である脳ドッグを受けるのも効果的です。近隣の病院に脳ドックを扱う脳神経外科がないか、探してみてください。

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