くも膜下出血になると出てくる頭痛って、どのくらい痛いの?

2018/12/24

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

風邪を引いたり、お酒を飲みすぎたり、様々な要因で多くの人が頭痛を経験したことがあると思います。
ひとくちに頭痛といっても、原因が解消されれば自然に治るものから、すぐに対処しないと危険なものとに分かれ、危険なものではくも膜下出血による頭痛があげられます。
こちらでは、くも膜下出血による頭痛について詳しく説明していきます。

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くも膜下出血の頭痛の特徴ってどんなもの?

くも膜下出血は、脳にできた動脈瘤(脳動脈瘤)が破裂し、脳を覆うくも膜と軟膜のすき間に血液があふれる病態です。突然の頭痛が特徴で、今までに経験したことのない―雷が落ちたような、バットで殴られたような、ハンマーで殴られたような激痛とあらわされます。

くも膜下出血の最も強力な危険因子は、喫煙だと考えられています。喫煙する人は喫煙しない人に比べて、男性だと3.1倍、女性だと2.2倍リスクが高いといわれています。

また、高血圧の人、近親者に脳卒中を発症した人がいる人、多量に飲酒する人、ストレスを抱えている人なども危険性が高いです。
加齢にともない、40歳代以降になると患者が目立ち始め、50歳代からは急に増えるので、該当する年代の人も注意が必要です。

頭痛のほかにみられる症状は?

出血の仕方や程度によって頭痛の感じ方は異なりますが、出血がひどい場合には頭痛とともに激しい嘔吐やけいれん発作などをともない、意識を失うこともあります。多くの場合数秒から数時間で意識は回復しますが、中には昏睡状態に陥り、そのまま呼吸が止まって死に至ることもあります。

出血が少ない場合には、首の付け根からうなじあたりに痛みを感じたり、首筋が硬直したり、ひどい肩こりを感じるケースが多いです。

またほかに、何かが頭の中ではじけた感じや、頭が一定方向に引っ張られる感じなどがするだけで、頭痛を感じない人もいます。そのため軽症だと片頭痛、肩こり、風邪と間違われ、診断が見逃されることもあります。

つまり、突然の激しい頭痛で意識が朦朧とし、救急車で運ばれてくる患者もいれば、自分の足で歩いて外来に来る患者もいるなど、かなり個人差が大きいのです。しかし初期診断や治療が適切に行われなければ、重篤な状態に陥る可能性があるため、何か異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。

くも膜下出血を発症する前にも頭痛がすることがある?

くも膜下出血が起こる前兆として、脳動脈瘤からの少量の出血によって頭痛があったり、脳動脈瘤が動眼神経を圧迫し、眼球の動きが悪くなって、物が二重に見える動眼神経麻痺が起こることがあります。

脳動脈瘤からの少量の出血によって起こる急な頭痛を警告頭痛と呼び、頭の中にモヤモヤやボーッとしたような違和感を覚える人もいます。目の異常では物が二重に見えるほか、痛みを感じたり、まぶたが下がったりする感じがあります。

こうした症状はしばらくすると治まってしまい、その数日後に大きな発作を起こすことも少なくありません。とくに、目にあらわれた異常を感じた場合、脳動脈瘤が破裂する危険が高いと考えられていますので、すぐに医療機関を受診しましょう。

普段感じたことのない頭痛も、いつ急激に症状が変わるかわかりません。経験したことのない頭痛や、意識を失いそうになったら、周囲に助けを求め、一刻も早く救急車を呼びましょう。

くも膜下出血を予防するにはどうすればいいの?

くも膜下出血を発症すると、その死亡率は約50%とされており、処置が遅れると後遺症などのリスクも高まります。

しかし脳動脈瘤は体のほかの部位にできる動脈瘤とは違って、痛みなどの症状がなく、できていても気づかないことが多いです。
最近では脳ドックなどの画像診断で脳動脈瘤が見つかるケースも増えてきましたが、くも膜下出血を起こさないためには、脳動脈瘤を作らないように予防する必要があります。

禁煙

くも膜下出血の最も強力な危険因子である、喫煙をやめることが予防に繋がります。とくに高血圧の人や、近親者に脳卒中の既往歴のある人がいたら、注意が必要です。

血圧のコントロール

高血圧の人はそうでない人に比べると、くも膜下出血による死亡リスクが男性ですと2.9倍、女性ですと2.7倍も高くなります。血圧が高いと脳動脈瘤にかかる圧力が常に高い状態にあるため、それだけ破裂する可能性も高くなるのです。
高血圧の人は日ごろから血圧の乱高下に注意し、大きな変化があったら医療機関を受診しましょう。

食生活の見直し

塩分を摂り過ぎる食生活は血圧を高くします。塩分の多い食事を好む人はそうでない人と比べると、高血圧のリスクが男性で3.01倍、女性では2.34倍にもあがります。

野菜に含まれるカリウムは塩分の排出を促すので、野菜を多めに摂るようにしましょう。また、アルコールの飲みすぎも、くも膜下出血のリスクのひとつなので、控えめにすると良いでしょう。高血圧の人は医師の指導に従って、食事を楽しみましょう。

前兆を見逃さない

血圧の乱高下のほか、急な頭痛や目の異常などの、いつもとは違う変化があったらくも膜下出血の前兆の恐れがあります。異変を感じたら、必ず医療機関を受診しましょう。

おわりに:気になる頭痛や諸症状は医療機関で相談を

心当たりのある頭痛ではなく、急なものやほかの異常をともなう場合には、危険な頭痛の可能性があります。
万が一くも膜下出血の前兆だった場合、そのままにしておくと重篤な状態を招きかねません。異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

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