記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本国内の死因で多いもののひとつが脳血管疾患です。なかでも「脳梗塞」は突然死を招くおそれがあります。有名人が脳梗塞を発症したニュースに驚かされることは多いでしょうが、「自分はきっと大丈夫」と思う方も改めて脳梗塞について理解を深めてみましょう。
「脳梗塞」とは脳の血管が詰まり、脳の細胞に障害が起きる病気です。脳内の血管は、太い血管から細い血管へと枝分かれしています。これらの血管が正常な状態よりも細くなったり、血栓(血の塊)が血管を詰まらせたりすると脳梗塞を発症します。発症した血管によって3種類に分けられます。
重度の脳梗塞は命に関わりますので、早期発見・早期治療が望ましい対応です。前兆として下記で紹介する症状があらわれることがあります。
脳梗塞の前兆によくみられる発作です。脳卒中の症状が5~15分程度続きます。長くても24時間以内には症状が治まります。症状が一時的ですぐに治まるため「問題ないだろう」と思うかもしれませんが、放置すると高い確率で脳梗塞に進行します。下記に挙げた一過性脳虚血発作の症状をチェックしましょう。
混同されることもあるふたつの病気ですが、くも膜下出血では非常に激しい頭痛に襲われ、意識障害が発生します。手足の麻痺(しびれなど)はみられません。
脳梗塞は発症してから治療を開始するまでの時間が重要です。時間が短いほど治療が効果的であり、迅速な対応が不可欠です。症状の程度を問わず、すぐに119番に電話をかけて救急車を呼びます。病院に向かう間にも症状が悪化する可能性がありますので、徒歩や自家用車での移動はおすすめできません。患者さん本人が運転して病院に向かうのは、意識障害による交通事故のおそれがありますので絶対に避けてください。
脳梗塞の治療法はいくつかありますが、発症後の経過時間によって治療方法の選択肢が制限されます。症状や患者さんの状態にもよりますが、脳梗塞における発症時間はとても重要です。
一刻を争う脳梗塞の治療ですが、症状が幅広く、一般の人が危険度を判断するのは困難ともいえます。近年、脳梗塞への迅速な対応を呼びかける「FAST」というスローガンがつくられました。「FAST」とは、脳卒中や脳梗塞で特に注意すべき4つのポイント(Face、Arm、Speech、Time)の頭文字です。
発症した本人だけでなく、家族や友人、同僚なども「FAST」を理解していれば、脳梗塞発症後の的確な対応が見込めます。
脳梗塞は高血圧など血管にかかるストレスが主な原因です。血圧管理を予防法として取り入れることをおすすめします。動脈硬化や糖尿病、高脂血症の影響も考えられますが、いずれも生活習慣の改善は予防として効果が期待されます。
血管を詰まらせる血栓の予防も大切です。正常な血液はいわゆらサラサラの状態で、水分が十分に含まれています。しかし血液中の水分量が減ると血液がドロドロの状態になり、血栓ができやすくなります。
夏は汗をかきますので体内の水分量が減り、血栓の発生が起きやすい季節です。夏や運動量が多い日は、一日に必要な水分量を意識して摂取してください。
脳梗塞は、生活習慣改善を基本とした予防、疑わしい前兆への気づき、発症後の迅速な対応がポイントになります。まずは「FAST」を覚え、あなたや大切な人が脳梗塞を発症したときにすべき対応を理解しておきましょう。
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