記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
加齢とともに、健康診断でコレステロール値の上昇を指摘されることも多くなってきます。健康に配慮し、コレステロール値を下げるためには、普段からどのような食事を摂るべきなのでしょうか。
今回は、コレステロール値を下げる食事のポイントについて、解説していきます。
血中のコレステロールのうち、80~90%は食品から吸収されたものではなく、肝臓で合成されて体内で作りだされたものだといわれています。このため、コレステロール値を下げるために気を付けるべきなのは、コレステロールを多く含む食品を避けることよりも、合成させやすい食品を減らすという点なのです。
肝臓でどのくらいコレステロールが合成されるかは、食事による脂肪の摂り方によって変わります。同じ脂肪(脂質)であっても、「飽和脂肪酸」に分類される脂肪をたくさん摂ると、肝臓でのコレステロール合成量が増えると言われています。一方、食品に含まれる脂肪のうち、「不飽和脂肪酸」に分類されるものを多く摂ると、肝臓でのコレステロール合成を減らす作用があります。
血中コレステロールを食事で減らそうとする場合、基本的には肝臓でのコレステロール合成を促進する飽和脂肪酸の摂取を減らす一方で、合成を抑える食品を増やすことが重要になります。
【 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団ホームページ の情報をもとに編集して作成 】
血中のコレステロール値を食事で下げる方法として、肝臓での合成を抑制するほか、既に存在しているコレステロールをきちんと体外に排出する方法もあります。
血中や腸内のコレステロールを包み込み、老廃物として体外へうまく輩出してくれる栄養成分が食物繊維です。食物繊維は、以下のような食品に多く含まれています。
毎日のごはんを玄米にしたり、野菜や海藻の味噌汁を食べるようにするだけでも、食物繊維を多く摂取することができます。
脂肪分のうち、肝臓でのコレステロール合成を促進する飽和脂肪酸は以下のような肉類に、抑制する不飽和脂肪酸は大豆食品や魚介類に多く含まれています。
不飽和脂肪酸を多く含む魚介類のうち、特にさばやいわし、さんまなどの青魚には、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らすDHAやEPAが含まれています。また、大豆や大豆食品にも悪玉コレステロールの値を低くする作用が期待できます。
このため、最低でも1日1食は主食に青魚や厚揚げ・油揚げなどを使った料理をメインのおかずにしたり、毎日みそ汁を飲むなどが、有効な対策になります。
ここまでにご紹介した、血中コレステロール値を下げるのに効果的な食事は、長く続けてこそ効果を発揮します。このため、以下のポイントに留意しながら、ストレスにならない程度に食生活を徐々に変えていくことが大切です。
なお、コレステロール値を下げる食品は青魚や大豆、植物油や海藻など、上げる食品は脂肪分の多い肉類や乳製品、数値を変えない食品は魚卵や鶏肉、和菓子などがあります。極端にコレステロール値下げる食品にこだわりすぎてしまうのではなく、数値を変えない食品や、たまには上げる食品も食べながら改善を目指しましょう。
【 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団ホームページ の情報をもとに編集して作成 】
血中コレステロールのほとんどは、食事から吸収されたものではなく、肝臓で合成されたものです。このため、コレステロール含有量の多い食品を極端に避けるよりも、肝臓でのコレステロール合成を減らせる食事にした方が、数値減少の効果は見込めます。コレステロール合成を促進する飽和脂肪酸を多く含む食品を避け、不飽和脂肪酸や食物繊維を多く含む食品を継続的に食べるようにして、コレステロール値を下げていきましょう。
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