記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
コレステロール値を下げたいとき、基本的には生活習慣の改善に取り組むことが優先されますが、場合によってはコレステロール値を下げる薬を服用することもあります。その場合、どのような薬を服用するのでしょうか。また、副作用としてどのようなものがあるのでしょうか。
外食の増加や肉を取り入れた食事への変化、不規則な食生活や運動不足などは生活習慣病のリスクを高めます。生活習慣病としては、高血圧、糖尿病とともに、肥満やコレステロール値の異常である脂質異常症を指摘される人も少なくはありません。脂質異常症は、心疾患や脳血管障害のリスクとなる動脈硬化を進行させることが知られています。
脂質異常症は、2007年から用いられ始めた名称です。以前は、何が異常な値を示しているかによって高コレステロール血症、高脂血症に分かれていましたが、現在は脂質異常症としてまとめられています。悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪(トリグリセライド)、善玉コレステロール(HDL)のいずれか、または複数に異常がある状態です。
脂質異常症の治療では、食生活や運動、睡眠といった生活全般の見直しを行うことが基本となりますが、並行してコレステロールの値を下げる薬を使うことがあります。次に挙げるものは医師の診断のもとで処方される薬です。それぞれの薬はコレステロールの数値を下げることを目的に処方されますが、一方で薬には副作用のリスクもあります。したがって、医師や薬剤師の説明を受けて、適切に飲むことが大切です。
いくつかのコレステロールの薬の副作用として、注意しなければならないものが「横紋筋融解症」です。横紋筋は筋肉を構成する筋肉です。横紋筋融解症は、横紋筋の細胞に含まれる物質が大量に血液中に溶け出して、全身状態を悪化させる病気です。
横紋筋が溶け出して血中に成分が流れ出すと、腎臓の尿細管という管に詰まります。腎臓は体内で生じた毒素成分から尿を作り、体の外に出すための浄化器官と言える臓器です。尿細管がつまると急性の腎不全が起こり、尿が出なくなってむくみが生じたり、発熱や腹痛、呼吸困難といった全身症状につながります。また、カリウムやリンなどが血液中に異常に放出されることで、心臓の拍動に異常が生じることもあります。横紋筋融解症は重症化すれば命に関わることがあります。
横紋筋融解症は、初期には痛みから始まることが多いといわれます。特に、筋肉量の多い太ももが痛くなることが多いです。このほか、手足の力が入らない、血尿が出るといった症状がみられることもあります。コレステロールの薬を飲み始めてからこのような症状が出てきた場合、副作用が心配されます。できるだけ早く医師に相談をしましょう。
コレステロールの薬の副作用としては横紋筋融解症が最も注意が必要ですが、海外では、その他にも糖尿病や認知機能の低下に関わる可能性についても注意喚起されているようです。ただ、コレステロールの薬が認知機能を低下させているのか、加齢による認知機能の低下なのかについての判断は難しく、現時点では明確に証明されたとは言えません。
いずれにしても、不安な点があれば主治医に相談してみましょう。異なる薬を用いたり、別の治療方法を検討するかもしれません。
生活習慣病のひとつである高コレステロールの改善には、食生活や運動習慣といった生活習慣の見直しを行うことが基本ですが、これと並行してコレステロール値をコントロールするための薬が用いられることがあります。
ただし、コレステロールを低下させる薬には、命にかかわるような重大な副作用が生じることもあります。医師や薬剤師の指示通りに服用しましょう。
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