記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
らい病はハンセン病とも呼ばれ、らい菌によって引き起こされる感染症で、手足の皮膚、神経だけでなく、目や鼻、男性の腎臓や睾丸などの他の臓器にも影響を及ぼします。 放置すると、らい病は手足の変形、失明や腎不全を引き起こす可能性があります。
らい病は非常にゆっくりと進行し、細菌に感染後、少なくとも1年間は症状が現れず、たいていの場合、発症には5~7年かかります。
結核性らい病とリンパ性らい病の2種類があり、 結核性は、病気の程度は低く、伝染性も低いタイプ。 リンパ性は、より重度で伝染性も強力です。 リンパ性は、目、鼻、腎臓、睾丸(男性の場合)などの器官に影響を及ぼす可能性があります。
症状として、以下のものが挙げられます。
らい病はどのようにして発症するか、正確なメカニズムは未だ不明です。 伝染性はほとんどなく、病気にかかっている人に触れることで感染することはありません。
ほとんどの場合は、らい病気にかかっている人と長期間に渡って接触したことによるものであり、感染者が咳、くしゃみをした際、その空気を吸い込むことによっての感染も考えられています。ハンセン菌と接触するほとんどの人はらい病を発症しません。
しかし、免疫機能が、糖尿病、HIV、AIDS、心臓病などにより弱体化している人は、免疫が細菌に負け、らい病を発症する可能性が高くなります。また、子供のほうが成人よりもらい病の発症の可能性が高くなっています。
医師は症状と病歴について質問した後、皮膚片を採取し、ハンセン菌の有無を検査します。
抗生物質で治療されています。 抗生物質で体内にあるすべてのハンセン菌を消滅できますが、神経損傷や変形に対しての効果はありません。 このため、早期治療がとても重要になります。 感染の重度に応じて、半年以上抗生物質を服用することもあります。
放置すると、指、つま先、手足の神経に永久的に損傷を引き起こす可能性があり、痛み、温度を感じる能力に影響を及ぼします。そして、神経損傷は筋肉の衰弱、変形を起こし、指、つま先の壊死を生じることもあります。腫れ、傷がより重症になることもあります。
らい病により鼻の粘膜が障害されると、鼻血や不快感が頻繁になり、 眼に及んだ場合は、緑内障、さらには失明につながる可能性があります。腎臓に損傷を与え、腎不全につながる可能性もあり、男性の場合、男性ホルモンであるテストステロンと精子の数を減らし、勃起不全、不妊につながります。
らい病のリスクはほとんどありませんが、らい病患者の体液、発疹との接触を避けることでリスクはさらに低減します。