インフルエンザの予防接種って、本当に効果がある?安全性は大丈夫?

2017/7/15 記事改定日: 2018/11/2
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

この記事では、インフルエンザの予防には欠かせない予防接種について解説します。予防接種の効果や安全性などにも触れています。
予防接種を受ける前に気になることがある方は、きっと疑問解消に役立つと思いますので、参考にしてください。

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インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスへの感染が原因で発症する病気です。発症すると、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった症状がすぐにあらわれます。ほとんどの場合1~2週間後で回復しますが、肺炎や熱性けいれんといった深刻な合併症を引き起こすこともあります。

特に、65歳以上の方や癌などの深刻な病気を抱えている方、妊娠中の女性は合併症を併発する可能性が高いため、特に注意が必要です。

ちなみに、インフルエンザはウイルスが原因で発症するので、抗生物質(細菌の破壊や増殖を抑える効果がある)では治りません。

インフルエンザの予防接種は、本当に効き目があるの?

インフルエンザを予防するためには、毎年インフルエンザの予防接種を受けるのが効果的とされていますが、予防接種を受ければ絶対にインフルエンザにかからない、というわけではないことは理解しておいてください。

でも、インフルエンザの予防接種には、感染するリスクを抑えたり、万が一インフルエンザになったとしても、予防接種を受けていない人より症状が軽くなるという効果が期待できます。また、肺炎をはじめとする合併症のリスクを減らすこともできます。

ちなみに、インフルエンザワクチンには「インフルエンザウイルスの不活化株」が含まれています。不活化株とはウイルスの感染力や毒性を失わせたもので、インフルエンザを発症することはありません。

ただし、インフルエンザワクチンは受精卵の卵で培養されているため、卵アレルギーを持っている方は事前に医師したほうがよいでしょう。

インフルエンザワクチンは安全?副作用はあるの?

予防接種は感染症を予防する効果がありますが、一定の割合で副反応が生じることがあります。インフルエンザの予防接種も例外ではなく、10%ほどの人に接種部位の痛みや腫れ、発赤などの症状が現れます。また、中には微熱は全身倦怠感、頭痛などの全身症状が現れることもあります。しかし、これらの軽度な副反応は3日以内に改善することがほとんどであり、過度な心配をする必要はありません。

一方、まれにワクチンに対するアレルギー反応が生じて蕁麻疹や掻痒感、呼吸困難などの症状が現れることがあります。インフルエンザワクチンは原材料に卵を使用しているため、卵アレルギーがある人は接種によるアレルギー症状を引き起こすことがあるので、基本的には接種を避けるようにしましょう。

また、ごくまれなケースとして、ギラン・バレー症候群や脳症、けいれん、肝機能障害、血小板減少性紫斑病などの重篤な副反応が起こるとの報告もあります。
接種後に具合が悪くなった場合には速やかに医療機関に相談するようにしましょう。

インフルエンザの予防接種は誰でも受けられる?

インフルエンザの予防接種は、生後 6カ月以上から受けることができます。妊娠中や授乳中の女性も、予防接種を受けることができます。妊娠中にインフルエンザを発症すると、合併症のリスクが高くなりますので、予防接種を受けたほうがよいと思います。

ただし、以下の人はインフルエンザワクチンを接種できない可能性があるので、事前に医師と相談してください。

  • 過去にインフルエンザの予防接種後に重度のアレルギー反応を起こしたことがある
  • 卵アレルギーを持っている
  • インフルエンザの予防接種を受けてから6週間以内に、ギラン・バレー症候群を発症したことがある
  • 生後6ヵ月未満である

予防接種の効果はどのくらい持つ?

インフルエンザワクチンは、シーズンごとに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されています。また、インフルエンザの予防接種の効果を期待できるのは、接種してから2週間後~5カ月程度です。このため、予防接種は毎年秋(10月頃)に受けるのがおすすめです。

予防接種の回数は、基本的に13歳未満の方は2回、13歳以上の人は1回です。13歳未満の方は、2回目の接種が10月頃になるように調整しましょう。
病院の中には、シーズン中であればいつでも予防接種をうけられるところもありますが、対応機関は病院によって異なりますので、事前に確認するようにしましょう。

予防接種を受ければ、インフルエンザには感染しない?

上でも説明しましたが、インフルエンザの予防接種を受けても、インフルエンザを発症する可能性はあります。そのため、予防接種を受けた後も外出から帰ってきたら手洗い・うがいで付着したウイルスを洗い流すことは大切です。また、インフルエンザウイルスは目や鼻から侵入することもあります。手を洗う前に目や鼻を触らないようにしましょう。

また、冬は室温を暖かく保ち、温かい飲み物をたくさん飲むようにしましょう。さらに、健康的な生活や運動、バランスの取れた食事、充分な睡眠を心がければ体の免疫力も高まり、予防に役立ちます。

おわりに:インフルエンの予防接種は安全性が高い。流行する前に受けておこう

インフルエンザは風邪よりも重症化する確率が高いだけでなく、他人にうつしてしまうリスクもある病気です。自分自身はもちろん、身近な人の身を守るという意味でも、予防接種を受けることは大切です。
毎年秋頃に受けておけば、インフルエンザの患者が増える時期(12月~3月頃)でも安心して過ごすことができます。特に受験など、この時期に大事な予定が控えている方は、ぜひ接種を検討してみてください。

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