妊娠糖尿病の特徴と治療内容について

2026/4/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

妊娠糖尿病とは、妊娠中に起こる糖代謝異常のことです。血糖値が高い状態が続くことは母体とお腹の赤ちゃんにもリスクがあるため、適切な血糖値が必要となります。この記事では、妊娠糖尿病の特徴と、治療方法や治療の進め方、治療後の注意点などについて解説していきます。

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠中に発症し、通常は出産後に消える高血糖状態のことです。妊娠のどの段階でも起こる可能性がありますが、妊娠後期で起こりやすいといわれています。妊娠糖尿病は妊娠中に必要に量のインスリン(血糖値をコントロールする働きを持つホルモン)を作り出せないことが原因で起こり、妊娠中、および、産後の母体・赤ちゃんに問題を引き起こす可能性があります。

妊娠糖尿病を発症しても、適切な血糖値管理がされていれば、深刻な問題が起こるリスクを軽減することができます。すべての女性が妊娠中に妊娠糖尿病を発症する可能性がありますが、以下の人は、比較的リスクが高いといわれています。

  • 肥満
  • 高齢出産
  • 巨大児出産の既往歴
  • 妊娠糖尿病の経験者
  • 糖尿病の家族歴がある

妊娠糖尿病で行われる治療

妊娠糖尿病の治療は、食事療法と運動療法から開始され、これらで血糖値を十分に低下させることができない場合は、薬物治療が必要になることがあります。

食事療法

妊娠糖尿病と診断された場合、最初に行われるのは食事療法です。食事療法では、適正なカロリー摂取を厳守し、野菜・和食を中心とした食生活を心がけることが基本になります。適正カロリーは、「標準体重(kg)× 30 +付加量」で計算されます。基本的には、妊娠16週未満で50kcal、16~28週未満で250kcal、28週以降で450kcal、授乳期で350kcalという付加量が定められていますが、妊娠前から肥満である場合には付加量が0になるなど、その人の状態によって変わってきます。食事療法のやり方も個人個人で異なるため、かかりつけの産婦人科や管理栄養士などの指導に従いましょう。

運動療法

妊娠中、お腹のハリがある人や子宮頸管が短い切迫流産・早産気味の人は運動を控えた方がよいとされていますが、特に異常がない場合は適度な運動であれば行うことが可能です。運動をすることで血糖値を下げる効果が期待できますので、妊娠糖尿病の場合でも医師の許可がある場合は、積極的に取り入れるようにしましょう。30分~1時間程度のウォーキングなどの有酸素運動を、週に3回程度行うことをおすすめします。ただし、網膜症・腎症などの合併症がある人は運動を行うことができない場合があるので、必ず医師の指示に従うようにして下さい。

薬物療法

食事療法や運動療法を行っても適切な血糖値を維持できない場合は、薬物療法が行われる可能性があります。一般的な糖尿病の薬物療法では、まず血糖値を下げる作用のある内服薬を服用し、十分な効果が見られない場合にインスリンの自己注射が行われます。しかし、血糖値を下げる内服薬は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠糖尿病ではインスリンの自己注射から行われます。

産褥期(出産後すぐ)の治療について

通常、妊娠糖尿病は出産後に自然に改善していきます。ただし、妊娠糖尿病の既往がある人には、以下のリスクがあります。

  • 次の妊娠で再び妊娠糖尿病を発症する
  • 糖尿病を発症する可能性がある

出産後6〜13週間の間に、血糖値の状態をチェックするために血液検査を受ける必要があります。また、結果が正常であっても、その後毎年検査を受けたほうがいいでしょう。出産後も、体重増加や肥満を防ぐために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけてください。もし、以下のような高血糖の症状がみられる場合は、次の検査を待たずに医師に相談してください。

  • のどの異常な渇き
  • お手洗いが近くなる
  • ドライマウス
  • 疲労感 など

なお、糖尿病の初期は症状が現れないことも多いです。できるだけ早く治療を開始するためにも、必ず定期的に検査を受けましょう。

おわりに:基本的に、妊娠糖尿病は出産後自然に治まる。ただし、注意点もある

妊娠糖尿病を発症しても、医師の指示を守ることで深刻なリスクを軽減できますし、ほとんどの場合は自然に改善して健康的な赤ちゃんを出産することができます。不安になり過ぎる必要はないでしょう。ただし、妊娠糖尿病の既往歴がある人は糖尿病リスクも高くなるため、退院前と産後6週間の検査で、血糖値の検査を受け、その後の食事や運動についてもアドバイスを受けましょう。

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