記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/10 記事改定日: 2018/8/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
糖尿病患者の約90%は2型糖尿病といわれています。
今回の記事では、2型糖尿病の主な原因と予防法について詳しく解説しています。糖尿病は原因をきちんと理解することが発症予防のポイントにもなるので、この機会に覚えておきましょう。
糖尿病は大きく分けると、1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は、血糖を下げるインスリンというホルモンを分泌する細胞が、自己免疫の異常によって破壊される病気です。このため、インスリンを正常に分泌することができなくなり、インスリン注射が必要となります。残念ながら現在の医学で1型糖尿病を完治させる治療法は確立していません。
一方、2型糖尿病は、遺伝と生活習慣が原因で発症する糖尿病です。高脂肪や高糖分の食生活、肥満、運動不足、ストレスなどが続くとインスリン自体の作用が低下するため、血糖を低下させるためにはより多くのインスリン分泌が必要となります。しかし、日本人は欧米人と比べてインスリン分泌能が低い人種であり、その分泌能は遺伝に左右されると考えられています。
したがって、不適切な生活習慣を続けている人は糖尿病を発症しやすくなるだけでなく、両親や兄弟で糖尿病を発症した人がいる場合には発症リスクがさらに上がりますので特に注意が必要です。
2型糖尿病の主な発症要因は生活習慣ですが、そのほかのにも下記がリスク要因になります。
以下では、各要因やそれ以外の原因について詳しくお伝えしていきます。
2型糖尿病の発症リスクは年齢とともに増加します。これは、年を取るにつれて体重が増え、運動をしなくなる傾向があるためです。しかし近年、若者でも発症するようになりつつあります。
糖尿病を持つ親、兄弟または姉妹のような近親者がいる場合は、発症するリスクが高くなります(関係が近いほど、リスクは大きくなります)。2型糖尿病の親を持つ子どもの場合、発症の可能性は3分の1程度です。
過体重や肥満(BMIが23以上)の場合、2型糖尿病を発症する可能性がより高くなります(BMIが27.5以上の場合はさらにリスクが高まります)。
また、お腹周りの脂肪は、心臓血管系や代謝系を狂わせる化学物質を放出するため、特にリスクを増加させます。ウエストの測定値が以下の人はご注意ください。
遺伝などの影響もあるので、100%予防できるわけではありませんが、2型糖尿病は生活習慣の改善で発症のリスクをかなり軽減できます。
予防のポイントは、バランスの取れた食事と定期的な運動、座りっぱなしの生活を避けることです。
2型糖尿病の発症を予防するには、日頃から生活習慣に注意する必要があります。
生活習慣の中でも食生活と運動習慣の改善は非常に重要です。また、これらは高血圧や肥満、高脂血症など他の生活習慣病の予防・改善にもつながります。それぞれ次のことに注意して生活習慣を見直してみましょう。
2型糖尿病を予防するための食生活で最も大切なことは、摂取カロリーを適正に維持することと炭水化物・たんぱく質・脂質などの栄養素のバランスに注意することです。
油物や甘い物を控えて野菜を多く摂取するなどの工夫が大切です。
2型糖尿病を予防するためには、適度な運動習慣を身に付けることが大切です。しかし、運動であれば何でもよいわけではなく、ウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動を一日30~60分を目標に行うようにしましょう。有酸素運動は心臓に負担をかけず、脂肪燃焼効果があるのでぜひ生活の中に取り入れるようにしましょう。
2型糖尿病はストレスや睡眠不足が積み重なることが原因で発症することがあります。このため、適度なストレス解消を行い、十分な休息を取ることが大切です。
2型糖尿病は遺伝などが原因になることもあるので、100%予防できるわけではありませんが、生活習慣を見なおすことでかなり予防できます。
予防のポイントは、食事と運動、規則正しい生活、ストレス回避です。
改めて生活習慣を見直して、発症予防に努めましょう!
この記事の続きはこちら