記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/10/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
早朝高血圧とは、朝起きた前後に血圧が高い状態になる高血圧です。日中に計測しても正常値のこともあるため自覚しにくく、注意が必要な高血圧といわれています。早朝高血圧は、脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞などの原因になることもあるため対策が必要です。
この記事では、早朝高血圧のリスクと原因、治療方法と予防対策について解説します。
早朝高血圧とは、朝起きた前後に血圧が上昇する高血圧です。健診や病院の検査など、医療機関での検査では正常でも、それ以外のときに高血圧になる「仮面高血圧」のひとつであり、発見しにくい高血圧になります。
早朝高血圧の原因は以下で挙げるようにいくつかありますが、おもな原因と考えられているのが、「交感神経が緊張することで生じる血管収縮」です。
早朝高血圧の人に起こる「早朝に生じる血管収縮」は、血管に負担をかけます。動脈硬化の進行による血流の悪化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこともあるので注意が必要です。
早朝高血圧には早朝上昇型と夜間持続型の2つの種類がありますが、どちらも明け方から早朝に発作が起こりやすい「脳卒中や心筋梗塞」のリスクが大きくなるため、リスクが高い高血圧といえます。
早朝高血圧は、「深刻な病気を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、自覚しにくく、発見が遅れやすい」ということも、注意が必要な理由です。
早朝高血圧は、起床時にめまいや頭痛、頭重感などの症状が現れる人もいますが、自覚症状が現れにくいです。また、家庭血圧を毎日測定していても、日中しか血圧測定していなければ、発見できない可能性が出てきます。
早朝高血圧の発見が遅れたり、放置したりしたままでいると、気づかないまま脳卒中や心筋梗塞のリスクが上昇する可能性があります。
早朝高血圧にはレニンアンジオテンシン系(RA系)というホルモンと交感神経が関連しているので、それらに働きかける薬剤を使った治療が推奨されています。代表的な薬は「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」や「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」、交感神経系に働く「α遮断薬」などです。
ただし、適切な治療には専門医の判断が必要です。治療方法など、気になることがある場合は、必ず医師に相談しましょう。
また、血圧の変動を把握するため、「朝起きてすぐ、日中、寝る前」など、1日に何度か血圧測定をする必要があります。血圧の変化をもとに、より効き目が長く続く降圧薬を服用する、降圧薬を朝と夜に分けて飲むなどの対処をしながら、1日を通して血圧を正常値に保てるように治療を進めて行きます。
早朝高血圧の予防には、減塩や減酒、禁煙、食事の改善、運動などの「通常の高血圧予防対策」に加えて、以下の点に注意しましょう。
血圧の急激な上昇・下降を防ぐためにも、起床後はすぐに起き上がらないようにしましょう。朝、目を覚ましたら、5~10分ほど時間を置くようにしてください。布団のなかで深呼吸をしたり、軽く体を動かしたりするのものおすすめです。
また、血圧は「体温の急激に変化」にも影響します。冬場はヒートショックのリスクが高くなるので、以下のような対策をとりましょう。
家庭血圧を計測することは、高血圧の早期発見、早期治療に役立ちます。早朝高血圧を早期発見するためにも、基本的には朝と夜の2回血圧を測定する習慣をつけましょう。
薬のなかには、血圧に影響するものもあります。自己判断で過剰に服用したり、複数の薬を飲みあわせたりしないようにしましょう。
治療薬を服用している場合は、必ず医師の指示通りに服用し、ほかの薬との飲み合わせや、服用時間を過ぎてしまった場合の対処法なども、事前に医師に聞いておくようにしてください。
早朝高血圧の発生には交感神経系が深く関わっていいます。早朝高血圧に予防には、自律神経が整いやすくなるように生活習慣を見直すことが大切です。
早朝高血圧は、血管に負担がかかるため、脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞など、命に危険がおよぶ病気のリスクを高めます。早朝高血圧は、病院で発見しにくく、自覚症状も現れにくいため、自分自身が早朝高血圧と自覚しにくいです。普段から朝と夜に家庭血圧を計測することを習慣化しましょう。
また、早朝高血圧の予防対策は、ほかの生活習慣病予防につながる部分もありますので、規則正しい生活を送り適正体重を維持できるように心がけてください。
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