記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/30 記事改定日: 2018/11/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
中性脂肪は生命活動を行ううえでエネルギーになるものであり、本来は必要な成分です。しかし、体内の中性脂肪が過剰に増えすぎると健康上のリスクが高まってしまいます。
この記事では、中性脂肪が健康上のリスクを高める理由について解説しています。
また、治療で使われる薬の効果と副作用についてもご紹介しています。
中性脂肪値が高い状態を放置していると、動脈硬化の心配がでてきます。動脈硬化が起きると心臓や脳へのリスクが高くなるため、数値が高い状態を放置しておくことは健康によくありません。動脈硬化の進行は緩やかであり自覚しにくいですが、放置すれば深刻な状態を招く恐れがあります。
中性脂肪が過剰な状態を放置していると、善玉コレステロールが減り悪玉コレステロールが増加するといわれています。中性脂肪や悪玉コレステロールが過剰な状態が続くと、粥状になったコレステロールが血管の内側にはりつき血液の流れを悪くしてしまいます。これが動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)を招く原因です。
動脈硬化そのものは加齢と共に誰にでも起きるものですが、血管の内側に不要なものがはりつきアテローム硬化が進んでしまうため、動脈硬化の進行が速くなってしまいます。
数値が高い状態になると血液がドロドロとした状態になっていきます。本来であれば血液はサラサラなのですが、数値の高い血液は粘度が高くなるためドロドロになり、血管に詰まりやすくなったり血管に無理な力がかかりやすくなってしまい、血管の壁が傷ついたり、血管が詰まったり、破れやすくなったりしやすくなってしまいます。また、血管内が傷つき炎症が起こることも動脈硬化を招く原因のひとつです。
動脈硬化が怖いのは、自覚しにくく、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、腎硬化症や腎不全、大動脈瘤破裂といった重篤な病気のリスクを高める原因になることです。また、糖尿病や脂肪肝といった生活習慣病の原因にもなります。
中性脂肪は人間の体にとってのエネルギー源のひとつであり、生命活動に必要なものです。しかし、過剰になってしまうと健康上の問題を生じさせる原因になってしまいます。
摂取したエネルギーが消費されなかった場合は、肝臓で中性脂肪に合成され蓄えられ、食事の量が少なかったり、有酸素運動をしたりしてエネルギー不足になったときに分解されて消費されていきます。この働きそのものは飢餓に備えるためのものであり、エネルギーの消費量と摂取量のバランスがとれているときには中性脂肪が過剰に蓄えられることはなく、健康上の問題は起こりません。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れてしまうと、体内の中性脂肪値が過剰に増えてしまうことなるのです。
中性脂肪が高い場合には、主にフィブラート系と呼ばれる薬剤が使用されます。フィブラート系薬は肝臓に作用して、中性脂肪の生成を抑制する効果があるだけでなく、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを減少させ、善玉コレステロールのHDLコレステロールを増加させる作用も持ちます。このため、中性脂肪が高いだけでなく、高LDLコレステロール血症などの脂質異常症の治療にも用いられています。
多くは安全に服用することができますが、稀に薬剤が筋肉にダメージを与えて筋肉痛や脱力などの副作用を生じることがあります。軽症の場合は、特に問題となることはありませんが、重症の場合は横紋筋融解症などを引き起こして腎不全や高熱などの症状を引き起こすことがあります。服用を開始してから筋肉の強い痛みや体調不良を自覚した場合は、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
中性脂肪値が高い状態が続くと動脈硬化が進みやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こす要因になります。体内の中性脂肪量は、エネルギーの摂取量と消費量のバランスを保つことで適切な値を保つことができるといわれています。生活習慣を見直して、普段から中性脂肪値が高くならないように対策をとりましょう。
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