記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/29 記事改定日: 2018/11/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断の結果で、中性脂肪値が高いことが判明…。いったい何が原因で中性脂肪値が高くなってしまったのでしょうか?原因や対策をわかりやすく解説していきます。
また、中性脂肪値を下げるときの注意点についても紹介していきます。
中性脂肪は、簡単に言うとエネルギーとして利用されなかった、余剰分の脂肪のことです。脂肪は生命維持のためには欠かせないエネルギーですが、多すぎて余るような状態だと健康に支障をもたらすリスクになってしまうこともあります。中性脂肪値が高いと言われる状態が続くと、肥満や動脈硬化、肝硬変などが引き起こされやすくなります。
中性脂肪値は、健康診断などの数値を見ると具体的でわかりやすいです(健康診断における中性脂肪の数値は、TGと言う言葉で表記されていることもあります)。基準値は50~149mg/dlと定められているので、これを超えた場合には、中性脂肪が高い状態であると判断できます。更に150~249の場合は要経過観察、250以上の場合は精密検査や治療が必要と判断されます。
中性脂肪値が高くなる原因ですが、先にも述べたとおり、これは体内に余り過ぎている脂肪によるものです。よって脂肪の摂取過多、そのような食事内容が主な原因として挙げられます。
食事内容で注意したいのは脂肪分だけでなく、糖質も原因になり得るという点です。糖質は肝臓で脂肪酸に変換されますが、この脂肪酸は中性脂肪の原料とも言うべき物質です。そのため糖質の過剰摂取も、中性脂肪値を高くする原因になるということです。
それからもうひとつは運動不足です。脂肪や糖質は生命維持に必要なエネルギーとしてだけでなく、体を動かす際のエネルギーとして消費されていれば、それが余るという状況は発生しにくくなります。ですから運動を全くしない、日常生活で体をほとんど動かさないというのも、中性脂肪値が高くなる原因になります。
そして中性脂肪値を高める原因としてもうひとつ挙げられるのがタバコです。タバコに含まれるニコチンは、体に対して有害性がある物質として認知されています。このニコチンにより、血管にダメージが与えられたり、血流が阻害されがちになると、血管は自分を守ろうと、分厚く・硬くなろうとします。その材料として血管内部に蓄えられるのが中性脂肪です。
それからニコチンにより、体にとって良い働きをしてくれる善玉コレステロールが減少してしまう、代わりに体にとって良くない作用をもたらす悪玉コレステロールが増加してしまうと言うのも原因のひとつです。
更にニコチンは、女性ホルモン、男性ホルモンと言った性ホルモンの分泌にも悪影響をもたらします。こうした性ホルモンには、中性脂肪の増加を抑制する作用があるので、ニコチンによりそれが阻害されるのも原因になります。
中性脂肪を増やさないようにするためには、まず禁煙することです。
そして食生活を見直すことも求められます。動物性脂肪や糖質の過剰摂取にならないように気を付けてください。ただし、特に青魚に多く含まれている動物性脂質のDHAやEPAは、中性脂肪を抑制する作用などがあると言われているので、意識して摂取しておきたいものです。また血管の健康を保つためにも、野菜やミネラル豊富な海藻類も意識して食べるのが望ましいです。
それから脂肪、糖質をエネルギーとして利用するために、体を動かすことも対策のひとつです。まったく体を動かす習慣がないと言う人は、まずはこまめに体を動かす習慣を持つと良いです。そして余裕が出てきたら、1日30分程度の有酸素運動を週に3~4日程度行うと、体への良い働きかけとなります。
HDLコレステロールは所謂「善玉コレステロール」と呼ばれている脂質です。コレステロールと言えば「人体にとって害になるもの」ととらえられがちですが、実はHDLコレステロールは人体にとって非常に重要な物質なのです。
HDLコレステロールは、血中に存在しますが、血中の余分なコレステロールに吸着して肝臓に運び、LDLコレステロールを始めとした悪玉コレステロール値を下げる作用があります。HDLコレステロール値が高い人は、動脈硬化性疾患にかかりにくいことが分かっており、中性脂肪を減らそうとして極端に脂質を制限したダイエットを行うとHDLコレステロールまで減少し、かえって健康に害は及ぶ可能性があります。
このため、中性脂肪が高い場合でも極端なダイエットは行わず、適切な食生活や運動習慣を心がけるようにしましょう。
中性脂肪値が高くなる主な原因は、食生活での脂質や糖質の過剰摂取や、運動不足にあります。中性脂肪値が高いことが判明した方は、これを機に生活習慣を見直してみてください。
ただし、脂質にはHDLコレステロールのように健康維持に必要なものもあります。脂質や糖質を極端に制限するようなダイエットはしないようにしてください。
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