記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/7 記事改定日: 2018/10/1
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
尿検査で「たんぱく尿」という結果が出ると、腎臓病の可能性があります。そもそも、なぜ腎臓が悪いとたんぱく尿が出てしまうのでしょうか。
たんぱく尿が出るメカニズムと対処法を併せて解説していきます。
たんぱく尿とは、その名の通りたんぱく質が含まれた尿のことです。たんぱく質は体の筋肉や皮膚、頭髪など人間の体のもとなる成分です。そして尿は腎臓で血液が濾過された結果、体にとって不要なものや塩分などが含まれてできあがったものです。つまり、体にとって必要な成分であるはずのたんぱく質が尿として出ているということは、腎臓の血液濾過機能に何らかの支障が発生していることを意味します。
このことによりたんぱく尿は腎臓病が発症している可能性を示す、ひとつのサインとして扱われています。すべてのたんぱく尿が腎臓の機能低下によるものとは限りませんが、この症状が見られた場合には、一度は医療機関に相談をするのが望ましいです。
腎臓の中でも血液を濾過する役割を担っているのは、糸球体と呼ばれる部分です。この糸球体が機能することで老廃物は濾過されて尿となり、たんぱく質は栄養として残ったままになります。
この機能には電気的なバリアとフィルターの穴の大きさが関係しているのですが、糸球体に支障が生じるとこれらの機能が低下してしまいます。その結果、電気的なバリアをたんぱく質が通過してしまったり、フィルターの穴をたんぱく質が通過してしまうことで、たんぱく尿が出るようになるのです。
糸球体の問題は腎臓病を引き起こす原因になりますし、また反対に腎臓病が糸球体の問題を引き起こすこともあります。
腎臓の病気や腎機能低下が原因で、血尿や尿潜血が生じることがあります。血尿とは、肉眼で見ても赤褐色~赤色の尿で血液の混入が分かるものです。
血尿の主な原因は、尿管結石や膀胱がん、膀胱結石、膀胱炎などのように尿路のどこかで出血を生じる病気です。
一方、尿潜血とは、肉眼的には尿に血液が混入していることが分からないものの、検査をするとごく少量の血液が混入していることが分かるものです。
検査では外陰部の微小な傷や尿管結石の痕など、ごく微量の血液が混入しているだけでも陽性反応が出るため、陽性になったからといって必ずしも重病とは言い切れません。しかし、中には糸球体腎炎や腎血管の異常、尿管がんなどの重篤な病気が原因になっていることもあります。
タンパク尿や尿潜血が長く続く場合は放置せずに必ず適切な検査を受けるようにしましょう。
たんぱく尿が出たときは、薬物療法から治療を始めるのが一般的です。たとえば高血圧は腎臓に対する負担が非常に大きいので、それを改善するための降圧剤などが処方されます。事実、たんぱく尿をはじめとする腎臓病には高血圧、糖尿病が関係していることも少なくありません。糖尿病と合わせての治療の際には、血糖値をコントロールするための薬が処方されます。
更にステロイド剤が処方されることもあります。ステロイドには腎臓で起きている炎症を抑制する作用があるためです。
なお、こうした薬物療法を基本としたうえで、塩分やたんぱく質の量を控えるといった生活改善も求められます。
たんぱく尿を予防するためには腎臓の健康を守り、腎臓に対する負担を軽減することがいちばんです。腎臓には血液を濾過するという機能以外にも、体内の塩分と水分バランスを保つ、血圧の安定をはかるといった機能を果たしています。
上記のことから、まず塩分を過剰に摂取すると腎臓に負担がかかりやすくなるので、塩分摂取量を控えることが効果的です。また高血圧にならないように努めることも、腎臓への負担軽減には有効とされています。
それから定期的に検査を受けることも、たんぱく尿予防の上では大切です。たんぱく尿はストレスや体調不良などにより出ることもありますが、定期的な検査を受けることで、これが腎臓機能の低下によるものなのかがわかりやすくなるのです。
たんぱく尿が出た時は、腎臓に負担がかからないように塩分やたんぱく質を摂りすぎない食事を摂るとよいでしょう。ここでは、たんぱく尿が出た時のおすすめのメニューを2つご紹介します。
一品で豪華なメインメニューになる一品です。忙しい休日のランチなどにもおすすめです。
生鮭はグリルで焼き、火が通ったら骨と皮に注意してよくほぐします。ほぐした鮭を鍋に入れて、薄めただし汁と酒を加えて煮立たせます。しょう油などでお好みに味付けしたら、完成です。ご飯にまぶして食べましょう。
鮭をグリルすることでうまみが凝縮し、塩分を少なめに抑えることができます。
胡麻を和えることで、しっかりと風味がつき、塩分を抑えることができます。ご飯のおかずにもよく、野菜不足を解消できるおすすめメニューです。
よく煮たほうれん草は、適当な大きさに切ります。ボウルにだし汁、砂糖、すった胡麻を入れ、ほうれん草を投入してよく合えれば完成です。
たんぱく尿はストレスなどの影響で出ることもありますが、腎臓の機能低下のサインである可能性もあります。塩分やたんぱく質の過剰摂取など、腎臓の負担となることは避け、予防に努めましょう。
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