記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/1 記事改定日: 2018/9/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
寒さやストレスなどが原因で手の指が白くなったあと、紫、赤に変化し、その後いつもの皮膚の色に戻る変化のことをレイノー現象といいます。
レイノー現象は、原因によってレイノー病とレイノー症候群に分けられますが、どのようにして区別するのでしょうか。
この記事では、レイノー病とレイノー症候群の違いと診断方法について詳しく解説しています。
暖かい室内から寒い屋外に出たときや冷凍庫に手を入れて冷凍品を取り出したときなど、寒冷にさらされたりストレスがあったときに手の指が白くなり、やがて紫や赤に色が変化する現象をレイノー現象と言います。レイノー現象は、正常な状態から白、紫、赤そしてまた正常な状態に戻ります。紫色になっても、軽症であれば気がつかないことも多いです。白くなってから正常な色に戻るまでは、数分から15分ほどかかるといわれています。主に手の指に現れますが、足の指にも起こることがあります。
レイノー現象で手が白くなるのは、手足の指にある細動脈が発作的に収縮して虚血状態になっているからです。虚血状態が続き酸素欠乏状態になると紫色になり、細動脈や毛細血管が拡張して過還流となって指の色が赤くなります。
原因となるような疾患がなくレイノー現象の症状しか現れないものを、レイノー病と呼びます。そして、原因疾患があってレイノー現象が起こっているものをレイノー症候群と呼びます。
レイノー症候群の原因疾患となる代表的な病気のひとつが全身性強皮症であり、全身性強皮症の発症者の9割ほどでレイノー現象がみられるといわれています。全身性強皮症は自己免疫疾患である膠原病の一種です。自己免疫疾患とは、本来は外敵を攻撃するはずの免疫システムが、自分自身を外敵だと勘違いして攻撃してしまう病気のことです。
その他、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群でもレイノー現象がみられることがあります。全身性エリテマトーデスもシェーグレン症候群も膠原病のため、レイノー現象が出ているときは、膠原病の症状がないか確認するようにしましょう。
膠原病とは、免疫系統の異常によって自己の組織や臓器などを免疫系統が攻撃してしまう病気ことです。代表的なものでは、関節リウマチ、全身エリテマトーデス、シェーグレン症候群などが挙げられます。
レイノー現象は、これらの膠原病の一つの症状として現れることがあります。以下のような膠原病に特有の症状とレイノー現象が見られる場合には、早めに膠原病内科などの専門医療機関を受診するようにしましょう。
レイノー病の場合は、左右対称にレイノー現象が現れますが、レイノー症候群の場合は左右対称ではないことが多いといわれています。また全身性強皮症は30~50歳代の女性に多いといった特徴も診断の参考とすることがあります。しかし何よりも、膠原病かどうかを見逃さないことが重要です。
膠原病の検査のために、採血で膠原病の指標となる抗核抗体という抗体を調べたり、全身性強皮症の自己抗体である抗Scl-70抗体などを調べます。
レイノー現象だけではなく全身倦怠感や疲れやすい、関節痛がある、微熱が続いている、皮膚がつまみにくくなっている、口が渇くなどといった症状がある場合は、膠原病の可能性も考えられるので、膠原病科を受診して詳しく検査をすることをおすすめします。レイノー病だと診断されていた人の中には、詳しく調べてみたら膠原病だったというケースもあるのです。
レイノー病の治療は、まずは寒冷刺激を避けることが大切です。暖かい部屋から屋外に出るときは手袋を着用する、ポケットに使い捨てカイロを入れて手を温めるなどの対策を施しましょう。炊事をするときにビニール手袋やお湯を使うことなども対策として有効とされています。レイノー病の場合は、これらの対処法だけでも改善することが多いと考えられています。
また、レイノー現象は冬だけではなく夏にも起こることがあります。特に冷房の効いた部屋に入るときは注意しましょう。そして喫煙は血管を収縮させレイノー現象を悪化させます。禁煙はレイノー病やレイノー症候群の治療には不可欠です。
薬物治療としては、血液の循環を良くするためにビタミンE製剤を飲んだり、血管を広げるためにカルシウム拮抗薬という薬を飲んだり、プロスタグランジンやなどが使われます。
レイノー症候群の場合は、上記の治療の他に原因疾患の治療が優先して行われます。
レイノー現象の原因となる膠原病は様々ありますが、治療は主に過剰に作用しすぎる免疫作用を抑えるためのステロイド剤の内服が行われます。ステロイド剤で効果が見られない場合には、免疫抑制剤を使用することも少なくありません。
また、それぞれの膠原病に特有の症状がある場合には、その症状に合わせた対症療法が行われます。
治療を行う際は、膠原病内科のある医療機関を受診するのが理想です。しかし、お近くに膠原病内科がない場合には、総合病院の一般内科などを受診して、重症で治療が難しいなど必要があれば膠原病内科に紹介してもらうとよいでしょう。
レイノー現象とは、寒冷刺激やストレスが原因で手の指が白、紫、赤の順番で変化し正常な色に戻っていく症状のことです。原因となる病気があるかないかによって、レイノー症候群とレイノー病に分けられます。
レイノー症候群は、膠原病などの自己免疫疾患が原因疾患になっていることがあるため注意が必要です。関節の痛みや腫れ、こわばりや皮膚の変化など、レイノー現象と違う症状を併発しているときは専門の医療機関で検査してもらいましょう。
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