記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/7 記事改定日: 2019/8/22
記事改定回数:3回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アイスクリームなどのお菓子やジュースに人工甘味料として使われている「ステビア」。このステビアは、どんな人が摂取しても安全なのでしょうか?ステビアも含めた人工甘味料の安全性や危険性と使用時の注意点についてお伝えしていきます。
ステビアは、南アフリカや南米パラグアイなどを原産とする、キク科ステビア属の多年草ハーブを原料に作られる植物由来の甘味料です。一般的にステビアとして流通しているものは、このハーブを加工して粉末、または液状にしたものを指しています。ステビアの甘味成分である「ステビオシド」は、ショ糖の200~300倍ほどの甘みがあるため、一般的な砂糖よりもかなり少ない量で十分な甘みを感じることができます。
初めて日本にステビアが入ってきたのは1970年代ですが、ステビアの自生地であるパラグアイにおいては、既に16世紀にはマテ茶に入れる甘味料として使われていました。また、パラグアイの原住民の間ではステビアは神聖な薬草として崇拝され、医療行為や呪術行為などに使われていた、という記録もあります。最近では、甘味料としてだけでなく、薬や健康食品としてのステビアの効果も研究されています。
実際、ステビアには降圧作用や血管の拡張作用があるとの研究結果が報告されています。今後はこのステビアの作用を利用し、高血圧、血管疾患、心疾患など生活習慣病の治療薬や改善薬として応用されることが期待されています。また、糖分やカロリーの摂取が制限されている糖尿病患者の治療に使われることもあります。
一般的な砂糖に比べて、甘さが強く、かつカロリーは低いです。また、天然由来のため、人工甘味料よりもやさしい甘さを味わえるのも特徴です。
ステビアには塩辛さを緩和し、本来の塩分量に対して塩辛さを感じにくくさせてくれる効果があります。また、塩だけではなく、酢などの酸味も和らげる効果があります。
ステビアは虫歯の原因となる酸や、歯垢を厚くする作用のある「菌体外多糖」という物質の材料にもならないため、他の甘味料に比べて虫歯になりにくいとされています。
ステビアは熱にも低温にも強いため、あたたかいお菓子や料理から、アイスクリームなど冷たいものまで、さまざまな食品加工に適しています。
通常、加工食品は加工の過程で使用された塩や酢の作用で変色しますが、ステビアを入れておくことで、塩や酢による加工食品の変色を防ぐ効果が期待できます。
ステビアの強い甘みを活かして使用されている食品として、ジュースやアイスクリーム、ゼリー、ヨーグルト、乳飲料、フルーツ缶などが挙げられます。
一方、ステビアの塩味や酸味を緩和する特性を利用したものとして、醤油や味噌などの調味料、スモークサーモンやカラスミなどの魚介薫製品、甘酢生姜などの漬物などに使われています。
日本では安全な甘味料として認められているだけでなく、健康へのメリットも期待されているステビアですが、海外にはステビアの使用を危険視する意見もあります。
ステビアに含まれるステビオシドやレバウディオシドは、腸内で分解されるとステビオールという物質に変化します。ステビオールは人の遺伝子情報に影響を与え、改変してしまう恐れを持つ「遺伝毒性」があるのではないかと言われており、ステビアそのものへの毒性を懸念する声もあります。また、発がん性や不妊の誘因性が指摘されていた時期があります。
加えて、子供がステビアを摂取したときにテストステロン(性ホルモンの一種)が減少したとするデータもあるため、現在も子供や妊娠・授乳中の女性のステビア摂取を疑問視する人もいます。ステビアが体内に蓄積しやすい性質を持つため、長期摂取は危険だと考える研究者もいました。
このように、かつては遺伝毒性や発がん性が指摘されていましたが、こちらについては安全性試験が行われた結果、現在では発がん性を高める可能性はないと考えられています。
ステビア以外の人工甘味料として、サッカリンやアスパルテーム、アドバンテームなどがあります。これらは人工的に合成した甘味料で、「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」と書かれた食品に使われています。
しかし、人工的に生成された成分であるため、摂取しすぎると体に害を及ぼす可能性があるので注意が必要です。最新の研究では、人工甘味料の摂りすぎは糖尿病発症のリスクを上昇させ、カロリーゼロであっても体脂肪が増加して太りやすくなることが分かっています。また、下痢や腹痛などの胃腸炎症状が現れることもあります。
「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」は魅力的な言葉ですが、摂りすぎると逆に太ってしまったり、お腹の調子が悪くなってしまったりすることもあります。摂りすぎにはくれぐれも注意しましょう。
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