ストレス性の胃炎に効く市販薬や漢方ってあるの?

2018/5/25 記事改定日: 2018/11/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

重要な仕事の前日や試験前など、ストレスがかかったときに胃痛や胸やけなどの胃の症状が現れたことはありませんか?今回の記事では、こうしたストレス性の胃炎の症状や症状緩和で使える市販薬や漢方薬をご紹介していきます。

ストレス性の胃炎の症状の特徴とは?

胃の粘膜からは、消化酵素を含む「胃酸」が分泌されています。胃酸は酸性度が高く、通常の粘膜にはダメージを与える可能性がありますが、胃の粘膜は胃酸のダメージを受けにくい構造になっています。
しかし、過剰に胃酸が分泌される状態が続くと胃の粘膜に備わっている保護機能を超えたダメージが加わることになり、胃炎胃潰瘍などを引き起こすことがあります。

胃酸の分泌は、自律神経の中の副交感神経によって促されます。
ストレスがかかると、まず交感神経が過剰に刺激され、それを鎮めるために副交感神経が作用しますが、この際に胃の粘膜も刺激されて胃酸の過剰分泌が生じるのです。また、胃の過剰な蠕動運動を引き起こして痙攣のような痛みが生じることもあります。

ストレスによる胃炎症状の特徴は、キューっと絞られるような痛みが生じること、食後だけでなく空腹時や夜間も痛みが強くなること、市販の胃薬を服用しても改善しないこと、休日などストレスが少ない日には痛みが軽減することなどが挙げられます。

ストレス性胃炎のときに、使える市販薬はある?

ストレス性胃炎の症状緩和が期待できる胃薬は市販されています。症状によって使用するべき薬は異なりますが、胃粘膜に炎症が生じて「しみるような痛み」がある場合は、胃酸の分泌を抑えるガスター10®やパンシロン®、胃の粘膜を保護する作用のある太田胃散®やセルベール®がおすすめです。また、「しぼられるような痛み」がある場合は、胃の蠕動運動を抑えるブスコパン®やサクロンQ®などがお勧めです。

しかし、これらの市販薬を使用しても症状が長引く場合は、胃潰瘍などを発症している可能性もありますので、病院を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

ストレスにより、みぞおちのつかえや吐き気、胃腸症状が出ている人によく処方される漢方です。半夏瀉心湯の「心」とはみぞおち周辺という意味で、主にみぞおち周辺の症状の改善に有効とされています。また消化管全体にも効く漢方で、神経性胃炎(ストレス性の胃炎)や胸焼け、下痢、お腹のゴロゴロ音、食欲不振、消化不良などの緩和効果もあるといわれています。

なお、半夏瀉心湯の「瀉心」には「心火(イライラや怒りの感情)を瀉す(除去する)」という意味があり、神経性胃炎だけでなく、ストレス性の口内炎や口角炎などにも効果を発揮するとされています。

安中散(あんちゅうさん)

ストレス性のキリキリする胃痛や、胃酸過多による胸焼けに適した漢方です。安中散の「中」とはお腹という意味で、その名の通りお腹の症状全般に効く薬とされています。胃痛や腹痛、お腹の冷え、腹部膨満感の改善効果があると考えられています。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

ストレスによる胃痛や腹痛、吐き気、食欲不振などの症状があり、やや虚弱体質の人に処方されることの多い漢方です。神経質な人の気の巡りを改善する柴胡や桂皮、上腹部の痛みに効く芍薬や甘草など、神経性胃炎に効果的な生薬が配合されています。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

ストレスを感じると、胃の筋肉が緊張し、血流が不足することで胃痛が起こることがあります。こうしたストレス性の胃痛に効果を発揮するのが芍薬甘草湯です。芍薬甘草湯には、筋緊張を緩和する芍薬や、腹痛や腹部膨満感を改善する甘草という生薬が配合されています。

開気丸(かいきがん)

肝の機能を整え、胃痛を緩和する効果のある漢方です。
漢方医学でいう「肝」は体のバランスを整える機能があるとされ、ストレスを受けるとその機能が乱れ、生理痛や胸痛などのさまざまな症状を引き起こすと考えられています。また、胃痛もこの肝の乱れによる症状の一種と考えられており、こういった肝気胃痛(かんきいつう)は、胃から脇の下周辺の張るような痛みやげっぷ、吐き気、下痢などが主症状といわれています。こうした肝気胃痛に効果を発揮するとされるのが、開気丸です。

ストレス性胃炎が、がんを引き起こす可能性はあるの?

ストレス性胃炎が長引いたり悪化したりすると、胃潰瘍に進行するだけでなく、胃の粘膜に慢性的なダメージが加わることで胃がんを発症する可能性もあります。
胃痛や胸焼けなどの症状がある場合は、放置したり、自己判断で漫然と市販薬の服用を続けるのではなく、病院で検査・治療してもらうようにしましょう。

おわりに:体質や症状の出方で適した漢方は異なる。薬剤師に相談を

ストレスによってお腹全体に症状が出る人もいれば、みぞおち周辺がキリキリ痛む人もいます。現れる症状やその人の体質によって適した漢方は異なるので、薬局で購入の際は薬剤師に必ず相談の上、薬を選んでもらうようにしてください。

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