顔に脂漏性皮膚炎ができるのはなぜ?スキンケアで気をつけることは?

2018/11/20

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

顔の皮膚の赤みや炎症を引き起こす「脂漏性皮膚炎」。この脂漏性皮膚炎は、いったい何が原因で引き起こされるのでしょうか?改善するには、スキンケアでどんなことに気をつければいいのでしょうか?

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脂漏性皮膚炎が顔にできるのはなぜ?

「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」の原因は、はっきりわかっていないことも多いですが、主に「マラセチア」というカビ(真菌)が関係していると考えられています。

マラセチア真菌は皮膚の常在菌のひとつで、普段は皮脂中の中性脂肪を分解し、人の肌に不可欠な遊離脂肪酸を作りだしています。しかしなんらかの要因で増加すると遊離脂肪酸も増加し、その刺激で肌に炎症を起こすようになります。

またこのほかに、過剰なスキンケアやスキンケア不足、化粧水に保湿成分として配合されるグリセリン、皮脂の酸化をうながす紫外線、ビタミンB2やB6などの不足、油分の多い食生活やストレス、飲酒、喫煙なども、皮膚症状を悪化させる要因といわれています。

顔にできた脂漏性皮膚炎はどうすれば治る?

脂漏性皮膚炎を治療するには、皮膚を清潔に保ちつつも皮脂を適度な量に保つ必要があります。治療薬としてはステロイド(副腎皮質ホルモン)外用薬が有効ですが、やめると再発したり副作用の問題もあるため、長期間の使用は専門医との相談が必要です。
また最近では、副作用がなく使いやすいケトコナゾールという抗真菌薬(水虫などの薬)の有効性も確認されています。これらの薬に加えて、かゆみが強ければ抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤、新陳代謝をうながし肌の状態を整えるビタミン剤などが処方されることもあります。

そして日常生活では、ストレスや過労、睡眠不足を避けることが大切です。食生活では特にビタミンB群(レバー、シジミ、牛乳、卵、ホウレン草、トマト、キャベツ、シイタケなど)と、便秘にならないよう食物繊維の多いものを積極的に摂るようにしましょう。一方、皮膚症状を悪化させやすい脂肪分、糖分、ナッツ、コーヒー、アルコール、香辛料などは控えめにし、喫煙者の人は禁煙しましょう。

顔に脂漏性皮膚炎ができたときのスキンケアのポイントは?

脂漏性皮膚炎になってしまった肌はとてもデリケートなので、皮膚に負担をかける洗い方や洗い過ぎは禁物です。洗浄成分が強い洗顔フォームを使用すると皮脂が落ちすぎて、肌がそれを補おうと皮脂を過剰に分泌してしまうことがあります。熱いお湯や洗浄成分の強い洗顔フォームでの洗浄は避け、38℃以下のぬるま湯で石鹸か敏感肌用の洗顔フォームを使うのが良いでしょう。そして、洗顔は多くても1日朝晩2回までとして、何度も洗うのは避けましょう。

また、油分が多い化粧品を避けることも大切です。一方、皮膚を保護する作用がある赤ら顔のケア用化粧品は、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなど、適度の油分で肌を保湿してくれるので脂漏性皮膚炎のケアに向いています。

おわりに:過剰なスキンケアや化粧品の成分にも注意を

脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチアというカビ(真菌)が関係していると考えられています。また、過剰なスキンケアや化粧品の成分、生活習慣の乱れも皮膚の炎症を悪化させる要因とされているので、薬での治療と併せ、生活習慣やスキンケアの方法そのものを見直すことも大切です。

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