皮膚の真菌症はどうやって治療するの?

2018/8/31

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

真菌(カビ)が体内に侵入したことで発症する「真菌症」のうち、皮膚で起こった真菌症はどのように治療をしていくのでしょうか?真菌症の種類ごとに、治療法を解説していきます。

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皮膚の真菌症にはさまざまな種類がある

皮膚の真菌症は、真菌の感染が表皮や角質など皮膚の表層で留まっている「浅在性皮膚真菌症」と、感染が真皮・皮下組織やさらにその奥にまで進んだ「深在性皮膚真菌症」の2種類に分けられます。それぞれの代表的な疾患名は、以下の通りです。

浅在性皮膚真菌症
白癬(水虫・タムシなど)、皮膚カンジダ症、口腔カンジダ症、外陰カンジダ症、癜風(でんぷう) など
深在性皮膚真菌症
スポトリコーシス、クロモミコーシス、皮膚クリプトコッカス症 など

真菌症のおよそ9割を占めるのは、「浅在性皮膚真菌症」といわれています。以降では、この浅在性皮膚真菌症(白癬、カンジダ症、癜風)の治療法についてお伝えしていきます。

皮膚の真菌症の治療法

先ほどご紹介したように、皮膚の真菌症にはいくつかの種類があり、その種類によって治療法は少しずつ異なります。

白癬の治療法

足白癬(いわゆる水虫)の場合は、外用の抗真菌薬を1ヶ月以上塗布し続けることで、基本的には治癒します。ただ、足白癬では症状がはっきりしないことも多いため、足の指だけで症状が出ている場合も、くるぶしから先の足全体に塗り残しがないよう塗布することが重要です。
なお、重度の炎症を起こしている場合は、亜鉛華軟膏や抗真菌薬の内服で治療する場合があります。

足白癬の次に発症例の多い爪白癬は、通常の抗真菌薬の外用では治りにくく、白濁部を削り取って爪白癬に効果のある抗真菌薬の外用、もしくは抗真菌薬の内服を行います。なお、難治性の爪白癬の場合は、病変部の爪をできる限り除去する必要があります。

そのほか、生毛部白癬では2週間程度の外用の抗真菌薬の塗布、頭部白癬では経口の抗真菌薬の内服治療を行うのが一般的です。

カンジダ症の治療法

皮膚カンジダ症の場合は、病変部の乾燥を心がけつつ、カンジダに効果のある外用の抗真菌薬を塗布することで、2週間前後で治癒します。ただし、爪でカンジダ症が起きた場合は、イトラコナゾールの内服治療を行います。

口腔カンジダの場合は、ミコナゾールゲルの塗布やナイスタチンシロップ液、アムホテリシンBシロップのうがいや内服などで比較的簡単に治癒します。

癜風の治療法

ケトコナゾール、ルリコナゾール、ラノコナゾールといった抗真菌薬の外用を、約2週間続けることで多くの場合治癒します。ただ、癜風の原因菌であるマラセチアは皮膚の常在菌のため、翌年以降に再発することも多いです。

おわりに:病変部や重症度によって、治療法は異なる

白癬やカンジダ症など、皮膚の真菌症にはさまざまな種類があります。いずれも抗真菌薬を使って治療を進めることがほとんどですが、病変の部位や重症度に応じて、適した治療法は異なります。皮膚科医の指示に従い、悪化させないよう治療を続けていきましょう。

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