職場でのメンタルヘルス対策 ~ 上司として知っておきたいこと ~

2018/8/28

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

長時間労働や過度のストレスにより、心を病んでしまう労働者は後を絶ちません。今回はその対策として、上司として知っておきたい、職場でのメンタルヘルスのポイントをお伝えしていきます。

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職場のメンタルヘルス対策が大事なワケ

職場のメンタルヘルスケアは、労働者が健やかにいきいきと働くためのものであると同時に、企業にとっても実施する価値のある取り組みです。なぜなら、メンタルヘルスケアは、職場の生産性を向上させ、現場の士気を上げ、そして事故などのリスクを回避するという重要な役割を担うものだからです。

例えば、メンタルヘルス不調に陥った労働者は、仕事への意欲や決断力が低下して生産性が著しく低下したり、遅刻や欠勤が増えたりします。休職や離職に至った場合は、職場は貴重な人員を失い、お金や時間を投資して新たな人員確保に乗り出さなくてはならなくなります。
また、メンタルヘルス不調の労働者は、集中力や注意力が低下するために、思わぬ事故を招く可能性があります。特に運転にかかわる仕事をしている場合は、本人だけでなく周囲の人も巻き込む大事故を起こし、企業として責任をとらなくてはいけない場面に遭遇するかもしれません。

これらの問題を事前に回避するために、職場ではこまめなメンタルヘルスケアが欠かせません。労働者の負担やストレスを知り、労務環境を改善することによってこそ労働者の心身の健康は守られ、それが企業の安定的な存続へとつながっていきます。

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 の情報をもとに編集して作成 】

上司が心がけたいメンタルヘルス対策とは?

快適な職場環境を整えるには、以下のようなメンタルヘルス対策を職場で実施することがすすめられます。

日頃の様子に注目する

部下の顔色が悪い、口数が少ない、身だしなみが乱れてきた、仕事のミスが増えた、遅刻が多くなったなど、以前の様子と比べ変化が見られた場合は、メンタルヘルス不調のサインの可能性があります。声をかけて、一度時間をとって部下の話にゆっくりと耳を傾けてあげてください。

なお、正常な判断ができない酒の席で話を聞くのは不適切です。相手のプライバシーが守れて、かつ落ち着いて話が聞ける、個室の部屋を選ぶようにしましょう。

アドバイスするのではなく、話を聞いてあげる

部下の異変をいち早く察知し、二人きりで話す時間を確保できたところまではよいものの、抱えている悩みに一方的にアドバイスをしてしまうと、かえってストレスが大きくなってしまう可能性があります。「頑張れ」といった励ましの言葉が、本人にとっては逆に負担となることも少なくありません。

とにかく、相手の話にしっかりと耳を傾けるということが大切です。その後は率直に心配しているという気持ちを伝え、産業医や保健師など専門家への相談を促すようにしてください。

相談機関について

社内に産業医や産業保健スタッフがいる場合は、一度そこで相談するのが選択肢のひとつですが、そのほかの公的機関や民間機関にもいくつかの相談機関があります。

  • こころの健康相談(全国の保健所)
  • いのちの電話
  • 働く人の悩みホットライン(日本産業カウンセラー協会)

長時間労働者に、産業医との面接指導を促す

長時間労働や深夜にわたる残業は、睡眠時間の減少に直結し、うつ病や脳・心疾患の発症リスクを上昇させます。労働時間の履歴をチェックし、長時間労働が慢性化している部下に関しては、特に積極的に産業医との面接指導を促すようにしましょう。

また、長時間労働の根本的な解決のために、仕事の分担の見直しや増員など、できる対策に中長期的に取り組むことも重要です。

職場でできるサポートを実施する

相談の内容に応じて、職場で実施できるサポートを検討しましょう(短時間勤務、残業の免除、部署移動など)。自身で対応できる範囲を超えている場合は、必ず本人の了承を得た上で、産業保健スタッフや上司に相談するようにしてください。

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 の情報をもとに編集して作成 】

おわりに:部下のメンタルヘルス不調に気づいたら、適切な対処を

部下の異変に気づくことはできても、つい飲みの席に誘ってしまったり、一方的なアドバイスに終始してしまったりすると、本人の心のつらさはなかなか軽減されない傾向にあります。上司として、適切な対処法を知っておくことが大切です。

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