記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/3
記事監修医師
前田 裕斗 先生
無月経は肥満や甲状腺の異常が原因でなることはあるのでしょうか?また、中高生で起こる無月経はどのような原因があるのでしょうか?無月経の原因について解説していきます。
肥満(体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI25以上)になっても、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量の低下は起こりませんが、排卵障害や月経異常が起こりやすいとされています。
中でも、稀発月経(月経周期が35日以上)や無月経は、3~6ヶ月ほどの短期間に体重増加(原体重の15~20%以上)が起こった場合に発症しやすいとされています。
肥満を改善すると、排卵障害や月経周期異常の回復に繋がることも多いため、まずは食生活や運動習慣の改善を図り、2~6ヶ月間ほどで現体重の5~10%を減らすことが重要です。また、糖尿病を合併している場合は、糖尿病薬などを使用する薬物療法や栄養指導などを、内科医や栄養士の指示の元に行う必要があります。
肥満に対する対応と並行して、月経異常や排卵障害の治療を行います。
早期妊娠を希望する場合は、排卵を促進する薬物療法が基本となりますが、まだ妊娠を希望しない場合は、月経周期を安定させるために黄体ホルモン製剤の服用を周期的に行います。
また、BMIを18.5~25.0を保つために食生活や運動習慣を改善を行い、肥満ややせ過ぎによる月経トラブルを防ぐことも大切です。
甲状腺機能低下症に悩む患者の75%ほどには、無月経や希発月経が見られるとされており、以下のような経過で、無月経が引き起こされると考えられています。
実際に、原発性甲状腺機能低下症患者の10~15%には、乳汁漏出を伴う無月経や高プロラクチン血症が見られるとされています。
甲状腺機能亢進症による卵巣機能への影響の仕組みについては、未だはっきりとは解明されていませんが、甲状腺機能亢進症により月経異常が起こる頻度は12~58%とされており、過多月経、過少月経、排卵性不整周期症、無月経、不妊症などが起こることがあるとされています。ただし、これらの甲状腺機能亢進症による月経不順は、甲状腺機能の治療を受けることにより改善されることが多いです。
また、その他の症状として、甲状腺腫、手指振戦、心悸亢進、眼球突出などが起こることがあります。
無月経とは、初月経から2年以上経過してからほぼ規則的な月経を経た後、3ヶ月以上月経が見られない状態のことをいいます。思春期に無月経になる原因は主に、ダイエットによる急激な体重減少や、原因不明の場合が多いとされています。
ただし、女性の性機能は精神状態に大きく左右されるため、原因不明と診断された場合でも、その多くは思春期特有のストレスや精神の不安定さが含まれているといわれています。
無月経があまりに長期間続く場合は、月経様出血を起こして子宮内膜の状態をリセットするために、女性ホルモン投与を行います。
このほかにも、3ヶ月以上月経が見られない場合など、無月経の疑いがあるときには産婦人科を受診しましょう。
肥満になると、排卵しにくい状態になることにより月経異常が起こる場合が多いとされており、また、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などの甲状腺異常により無月経が引き起こされることもあります。また、中高生でみられる無月経にはダイエットによる急激な体重減少、思春期特有のストレスなどが影響していると考えられています。いずれにしても無月経の疑いがあるときには産婦人科を受診しましょう。
この記事の続きはこちら