最近よく聞く「ウェルビーイング」ってどんなもの?

2018/9/3

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

最近よく聞く「ウェルビーイング」という言葉ですが、これはどんな意味を持つ言葉なのでしょうか?ウェルビーイングの意味や注目される理由について解説していきます。

「ウェルビーイング」ってどんな意味?

「ウェルビーイング(Well-being)」とは、様々な言葉の訳がありますが、最も多く用いられている言葉は「幸福」です。このキーワードは、1946年の世界保健機関(WHO)憲章の草案で使われたもので、会社で働いている人々の身体の健康だけでなく、人間関係、働き方、精神的な面においても、健やかかつ人間らしい生活を送ることを目指すというものです。
この概念は、企業の経営の方向性や組織のあり方を問う時の一つの目安といえます。

ウェルビーイングが注目される背景

多くの企業が概念としてもっている「社員の健康管理」というのは、高度経済成長期の工場での大量生産を急速に進めていた時代から現在まで継続して掲げられてきたもので、「社員にとって労働が悪にならないよう管理を行うこと」つまり、工場で労働する人達が健康を害さないようにすることを目的として作られたものです。

こうした従来の「健康管理」の概念は「マイナスからゼロを目指す」というものでしたが、社会状況の変化に伴い現在企業が目指すべき概念も同時に変化してきており、「ウェルビーイング」の概念では、心身の状態、人間関係、働き方の全てにおいて「ゼロからプラスを目指す」ことを目的としています。つまり、健康管理をコストとして考えるのではなく、社員への投資として定義するというものです。

「ウェルビーイング」という施策が世界各国で注目されている理由にはいろいろありますが、まず近年では、ITや生産技術の発達に伴い、多くの企業が高い課題解決能力を持つ人材を望むようになりました。しかし、労働人口の減少などが問題となり、新たな優秀な社員を確保することが難しくなっているため、現在企業で働いている優秀な社員に長く健やかにいてもらうために、ウェルビーイングに注目する必要がでてきたとされています。

また、企業を選ぶ際の基準が、「単純に給料の高いところを選ぶ」というものから「いかに自分らしく、気持ちよく働ける企業であるか」また「長期に渡って心身ともに健やかかつ人間らしく働けるか」に変化してきており、個人の労働意識がシフトしてきていることがウェルビーイングへの注目度に影響しているとされています。

日本ではどれくらい広まっているの?

2017年3月に国連により発表された、世界155ヵ国を対象とした幸福度ランキングでは、日本は51位とされています。1位はノルウェーで、上位5ヵ国中4ヵ国を北欧の国々が占める結果となりました。日本は2016年の53位から二つ順位を上げたものの、いまだ幸福度についての課題が多い国であると言えます。
優秀な人材の確保が難しい状況が続いている日本でも、経営方針としてウェルビーイングを取り入れ、企業の在り方の改善に取り組むことが望まれます。

おわりに:ウェルビーイングとはゼロからプラスを目指す健康管理

「ウェルビーイング(Well-being)」とは会社で働いている人々の身体の健康だけでなく、人間関係、働き方、精神的な面においても、健やかかつ人間らしい生活を送ることを目指すという考えのことです。日本はいまだ幸福度についての課題が多い国であるとされているため、多くの企業が積極的にウェルビーイングを取り入れて企業の改善をはかっていくことが期待されます。

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