記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
起床時に首が痛いと「寝違えたかな?」と思いがちですが、首の痛みがずっと続いていたり、手にしびれが出ていたりする場合は、「頸椎椎間板ヘルニア」を発症している可能性があります。サインとなる症状などを中心に、以降でお伝えしていきます。
寝違えとは、睡眠中に首周辺に無理な負担がかかったために起こる、首から肩にかけての筋肉や靭帯の急性の炎症です。「朝起きたら突然首が痛くて回せない」といった起床後の症状が特徴です。
寝違えは特に骨の異常からくるものではないので、X線(レントゲン)検査をしても特に異変が認められるわけではありません。そのため原因も確定しているわけではありませんが、不自然な寝姿勢による筋肉の血流不足、前日に普段やらないような激しいスポーツをしたこと、飲酒後の睡眠によって寝返りが少なくなったことなどが原因として考えられています。
ただ、寝返りはいわゆる外傷ではなく、数時間~数日で痛みが緩和することがほとんどなので、そこまで心配する必要はないでしょう。ただし、痛みが激しかったり、3日以上経過しても痛みがまったく良くならなかったり、発熱を伴ったり、首を動かすと手にしびれや痛みを感じたりする場合は、ただの寝違えではなく、頸椎椎間板ヘルニアや首の骨の変形や骨折、感染症、腫瘍など、何らかの病気や外傷の可能性があります。
「椎間板ヘルニア」というと腰の疾患をイメージされる方が多いかもしれませんが、「頸椎椎間板ヘルニア」は首の骨である「頸椎」の間にある椎間板が変形する疾患です。椎間板とは頸椎と頸椎の間をつなぐクッションのことで、椎間板の中にある「髄核」というゲル状の組織が椎間板の外に飛び出す(飛び出す=ヘルニア)ことで発症します。
頸椎の椎間板が破れ、各神経を圧迫することで起こる症状は、以下のように段階を経て悪化していきます。
頸椎椎間板ヘルニアが軽度のうちは、首の痛みや肩凝り、軽度の手のしびれなどが主症状ですが、悪化するにつれて首を反らす動きができなくなってきたり、腕や手にも痛みが生じたりするようになります。
頸椎椎間板ヘルニアは、椎間板への圧力が原因で起こります。ラグビーなどの激しい運動が原因で起こることもありますが、加齢による変性や長期間の姿勢不良によって発症することも少なくありません。
頸椎椎間板ヘルニアかもしれないと、思い当たる症状がある場合は、なるべく初期段階で整形外科を受診してください。頸椎椎間板ヘルニアの治療は、初期段階であれば投薬治療や神経ブロック注射、コルセットなどの装具療法などで改善しますが、日常生活に支障が出るほど重度になると手術が必要になります。
頸椎椎間板ヘルニアの場合、重症化すると歩行障害や排尿障害にまで発展し、治療が難しくなったりQOLが著しく下がったりする恐れがあります。首の痛みだけでなく、手のしびれや腕の倦怠感なども現れるようになった場合は、早めに整形外科を受診してください。
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