血糖値測定器を使うと、自分の体調管理にどんなメリットがあるの?

2018/9/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

糖尿病の治療には、日々の血糖のコントロールが基本となります。したがって、医療機関だけではなく、自宅でも血糖値の動きを自分で把握しておくことは、非常に意義のあることだといえるでしょう。
ここでは、血糖自己測定(SMBG)について、その方法やメリットをご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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血糖値測定器で自分の血糖値をチェックする目的は?

日常生活のなかで、自分で血糖値を確認することを血糖自己測定(SMBG)といいます。SMBGとは、「Self Monitoring of Blood Glucose」の略で、血糖自己測定という意味を持ち、日常の生活のなかでも血糖値を知ることで、より良い血糖コントロールと体調管理を目指すものです。主に、簡易血糖測定器を用いて、自分で血糖値を測定することができます。

くり返しますが、糖尿病の治療の基本は、日々の血糖のコントロールにほかなりません。
しかし、血糖の動きは個人個人で異なり、いつも一定であるとは限らないですし、糖尿病の治療でインスリンや経口薬を使用していると、血糖の動きはさらに複雑化する傾向があります。そのためにも、毎日血糖値を測定して、変化を把握しておく必要があるのです。

そして、インスリン療法を受けている人こそ、きめ細かい血糖のチェックが必要になります。これは血糖の状態によって、インスリンの量や食事内容の調整が必要になるためです。

これらのことからもわかるように、糖尿病の患者が、揺れ動く血糖の値を血糖自己測定によってチェックし、そのデータを治療に活かすことは、非常に重要なことです。

ちなみに血糖自己測定は、1型糖尿病の人、2型糖尿病でインスリン治療をしている人、低血糖を頻繁に起こす人、また糖尿病で妊娠を希望する人の血糖コントロールに、特に効果的だといわれています。
糖尿病以外の人にとっては、急激な血糖の上昇にいち早く気づいて、早期のうちに対処を始めることができるというメリットがあります。

血糖値測定器で血糖値をチェックするメリットは?

実際に、自分で血糖を測ってみると、さまざまなことがわかりますし、血糖の細かい変化を把握しておくことで「血糖値の上昇のきっかけ」になる習慣に気づくことができるので、急激な血糖値の上昇による容体の悪化を防ぐことができます。

以下、血糖値測定器で血糖値をチェックするメリットを、いくつか挙げてみましょう。

  • 血糖値の変化を正確に知ることができる
  • 日常生活と血糖値の相関関係が把握できる
  • 自己注射(インスリン、インクレチン)のきめ細かいコントロールができる
  • 主治医の治療計画に役立ち、適切な治療をうけられる
  • 合併症の進行を防止することができる
  • 安全で計画的な妊娠、出産ができる
  • 日常生活と血糖値の相関関係が把握できる

血糖値測定器にはどんなタイプがあるの?

血糖値測定器は、いつでも自分で血糖値を測定することができる、小型の測定器です。一般的な従来のやり方だと、食前や食後、就寝前に指先に針を刺して微量の採血をし、その血液のブドウ糖濃度を測定器で測ります。

このタイプの血糖測定器は各メーカーから多く発売されていますが、採血する場所で測定値が変化したり、あるいは血糖値の異常をブザー音で警告する機種においては、この警告音がストレスになることもあります。また、なかには針で刺す痛みに苦痛を感じたり、人前で採血をすることに抵抗感を訴える人がいることも確かです。

しかし、2017年に発売された新しいタイプの血糖測定器では採血の必要はなく、五百円玉程度のセンサーを二の腕などに貼り付けるだけで、採血の痛みを伴うことなく24時間、2週間分の血糖を測定し続けることができます。従来の測定器のように入浴時に外す必要もなく、血糖値を知りたい時に本体をセンサーに近づけるだけで、簡単に測定することができるのです。

この血糖測定器の登場で、これまでは血糖自己測定の必要がないとされていた患者でも、比較的安易に血糖の変化を把握することができるようになし、早期のうちにそれぞれの症状に合わせた予防策をとることが可能になってきています。ただし、妊婦や6歳未満、埋め込み型機器を使用中の人は使用できませんので注意しましょう。

使用済みの針はどうやって処分すればいい?

従来の穿刺針の測定器を使用している場合は、使用済みの針を処分しなければいけません。使用した針は専用の針捨てに入れて保管し、必ずかかりつけの病院や薬局に持っていくようにしてください。

ただし、お住まいの地域によっては個人で処分することが可能な場合もありますので、各自治体に確認をするようにしましょう。

血糖値測定器の結果はどう活かせばいいの?

血糖自己測定(SMBG)のデータは、必ず自己管理ノートに記録するようにしてください。測定値だけでなく、食事や運動など、血糖値を変化させる理由となるような行動も書き出すようにしましょう。測定したタイミング、薬の使用状況なども必須事項です。

また、血糖自己測定(SMBG)で得られた結果を記録するだけではなく、なぜそのような値になったのか、原因を考えることが何よりも大切です。

主治医や医療機関のスタッフと血糖値の記録を振り返りながら、運動不足があったか、食べすぎたか、薬の量の変化があったかなど、記録を正しく利用し、今後の血糖コントロールに役立てるようにしてください。

おわりに:新しい測定器も登場し、血糖自己測定はより身近な存在に!

これまでは、針で刺す痛みに苦痛を感じたり、人前で採血をすることに抵抗感を訴えケースも多かった血糖自己測定ですが、新しい測定器も登場し、その存在がぐっと身近に感じられるようになりました。血糖自己測定をうまく活用して、より良い血糖コントロール、体調管理を目指してください

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