記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/10/13
記事監修医師
前田 裕斗 先生
吐き気や嘔吐を伴うつわりは、妊娠初期の女性の多くが経験します。
しかし、妊娠期の女性はつわりとは別に逆流性食道炎による吐き気や気持ち悪さを生じやすいとされていることをご存知でしょうか。
今回は、妊娠中に発症する逆流性食道炎の原因と対処法・予防法を、つわりとの症状の違いとあわせて解説していきます。
逆流性食道炎とは、肥満や加齢、栄養バランスの偏った食事、胃を圧迫する生活習慣などが原因で、胃酸が逆流して食道に炎症が起こってしまう病気です。
症状の現れ方には個人差があるものの、発症すると以下のような症状が現れます。
逆流性食道炎は、放置しておくと食欲の低下や不眠によって身体が衰弱する他、強い酸性である胃酸によって食道が深刻なダメージを受けてしまい、進行していくと炎症だけではなく食道に潰瘍やびらんができる原因にもなります。
妊娠している女性が逆流性食道炎を発症しやすくなるのは「妊娠によるホルモンバランスの変化」と「妊娠中の臓器の圧迫」が原因です。
妊娠中には、妊娠継続のために女性ホルモンのうちプロゲステロンという成分の分泌量が増えますが、プロゲステロンには胃の消化機能を低下させる作用があります。また、妊娠中期以降は赤ちゃんの成長とともに子宮も大きくなってくるため、胃腸など他の臓器は下から突き上げられるようなかたちで、どんどん圧迫されていきます。
このように、消化能力が低下して食べたものがのこりやすい状態の胃が下から圧迫されることで、胃酸と未消化の食べ物が食道に逆流しやすくなってしまうのです。
なお、妊娠中の逆流性食道炎には子宮が大きくなって内臓の圧迫がすすむ妊娠中期~後期にかけて、特に発症しやすいという特徴もあります。
前述の通り、逆流性食道炎は妊娠中期~後期にかけて現れやすいですが、人によっては妊娠初期のつわりとあわせて発症するケースもあります。
どちらも吐き気やげっぷ、胃のむかつきなど似た症状を伴うので、妊娠初期から逆流性食道炎を発症した場合は、つわりとの見分けも難しくなってしまいます。
症状からつわりと逆流性食道炎を見分けるには、吐き気やむかつき以外にのどの炎症による痛みや声の枯れ、咳があるかに注目してみましょう。上記のような症状があり、かつ妊娠中期以降にも症状が続いたり、悪化するようであれば、逆流性食道炎である可能性があります。
妊娠中の逆流性食道炎の発症を予防するには、以下のポイントに留意して日々の食事・生活の習慣を、胃への負担が少ないものに変えていくことをおすすめします。
上記を参考に、お母さんの胃と赤ちゃんの健康に良い生活習慣に変えていきましょう。
食事・生活習慣を変えるだけでも、妊娠中の逆流性食道炎はかなり改善しますが、どうしても症状が辛いときは、妊娠中でも服用できる薬であれば頼ってもかまいません。
妊娠中は、逆流性食道炎の治療に効果的な胃酸中和・健胃成分を含む薬のうち、比較的効き目が穏やかで胎児に無害であることが確認できる種類の薬を選ばなければなりません。
以下に、妊婦さんの逆流性食道炎の治療に使われることの多い薬をいくつか紹介しますので、参考にしてください。
上記の薬はドラッグストアなどで自己判断での購入できますが、母体や胎児への影響や他の薬との飲み合わせなどもありますので、妊娠中に服用する薬は必ず薬剤師や医師など専門家の指示のもとで購入するようにしましょう。
胃の消化機能を低下させるプロゲステロンの分泌が活発になり、子宮で内臓が圧迫される妊娠中には、逆流性食道炎を発症しやすくなります。特に妊娠中期~後期にかけて発症しやすく、吐き気や胸焼け、げっぷの他にのどの痛みや声の枯れなどの症状が長く続くのが大きな特徴です。妊娠中に逆流性食道炎を発症したら、まずはこの記事を参考に食事と生活の習慣を改め、必要なら薬や医師の力を借りることも検討しましょう。
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