記事監修医師
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生
2018/11/26
記事監修医師
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生
健康診断でメタボリックシンドローム、あるいはその予備軍と診断されてしまった場合、必要なのが食事の見直しや運動などのダイエットです。今回はメタボの人が効率よくダイエットを進めるために知っておきたい、運動のコツについて解説します。
まず、運動は大まかに以下の2種類に分けられます。
メタボを解消するには、この2種類の運動をバランスよく取り入れることが欠かせません。まず、メタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」と呼ばれているように、改善するには内臓脂肪を減少させることが重要です。そのため、体脂肪の燃焼効果のある有酸素運動に重点を置いて運動メニューを組むことが、メタボの人のダイエットのポイントになります。
ただ、メタボを解消するには基礎代謝を上げることも大切です。基礎代謝とは、私たちがじっとしている間も消費される、生きていくために最低限必要なエネルギーのことで、基礎代謝が低い人は痩せにくく太りやすいとされています。つまり、痩せやすい体に変えていくためには、基礎代謝の中で最もエネルギー消費率が高いとされる筋肉量を増やす―無酸素運動に励むことも欠かせないのです。
効率よく内臓脂肪を減らすには、運動メニューの順番に気を配ることも大切です。筋トレをした後には、骨や筋肉を強化する成長ホルモンが分泌されることがわかっており、この成長ホルモンには脂肪酸の濃度を上げる効果があります。つまり、「筋トレ→有酸素運動」の順番で運動メニューを組むことで、脂肪酸を効率よく消費でき、脂肪の分解効率上昇につながります。
メタボリックシンドロームと診断された人は、目安として週に3~5日以上、30~60分間、息が弾む程度の運動(早足でのウォーキングなど)を習慣化することが必要とされています。
メタボ解消に効果的とされる運動で、代表的なものをいくつかご紹介します。
ウォーキングはマイペースにいつでも始められる、おすすめの有酸素運動です。いつも通りのスピードだと脂肪がうまく燃焼されないので、大股で早歩きを意識しましょう。
なお、ウォーキングによって脂肪が燃焼されるのは開始20分後からとされています。まずは1日30分からはじめ、徐々に1日1時間を目標にしていきましょう。
ゆっくりと走る「スロージョギング」も、メタボ解消におすすめの有酸素運動です。体力のない人でも比較的簡単にはじめやすく、ウォーキングの倍近い消費カロリーが見込めます。地面を蹴るのではなく足の裏でなでるようにし、息が上がらない程度のスピードで、1日10~30分を目安に実践しましょう。
有酸素運動の中で、特にカロリー消費率が高いとされるのが水泳です。水の浮力のおかげで膝や腰への負担が少ないだけでなく、体全体に圧力がかかるので、全身の筋トレにも効果的とされます。クロールやバタフライだとすぐ疲れてしまうので、平泳ぎで30分以上かけてゆったり泳ぐのがおすすめです。泳げない人は水中ウォーキングでもかまいません。
オフィス勤めの方が休憩時間中に取り入れやすい無酸素運動(筋トレ)が、階段昇降です。階段(昇り)のエネルギー消費量は8メッツ(身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表した単位)とされ、これは通常歩行(3メッツ)の約2倍ものエネルギー消費量に値します。10分行うだけで20分の歩行と同じくらいのエネルギー消費が得られるだけでなく、最も効率よくたくさんの筋肉を鍛えられるといわれる「ハーフスクワット」の動きにも相当します。
メタボの人は体重や内臓脂肪を減らすことが大切ですが、ただやみくもに運動をしていては効率が悪くなったり、辛くなって継続できなくなったりします。楽しんで継続していくことが重要なので、日々の中で少しずつ、好きな運動から取り入れていきましょう。
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