メタボリックシンドロームと生活習慣病ってどう違うの?

2018/11/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「メタボリックシンドローム」と「生活習慣病」はいずれもよく聞く病態であり、「メタボ改善で生活習慣病予防を!」といった具合に関連付けて話されることが多いです。ですが、そもそもこの両者にはどんな違いや関連性があるのでしょうか?

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メタボリックシンドローム生活習慣病の違いは?

まず生活習慣病とは、食事や飲酒、喫煙、運動、睡眠などの生活習慣が、発症や進行に大きく関わる病気の総称です。糖尿病や高血圧症、脂質異常症、肥満症、歯周病、大腸がんといったさまざまな病気がこれに該当します。

そしてメタボリックシンドローム(以下、メタボ)とは、内臓脂肪型肥満(内臓のまわりに脂肪が過剰に蓄積した状態)に加え、高血圧、血清脂質異常、高血糖のうち2つ以上を併発した病態のことです。こういうと「メタボ=おなかが出ていて、生活習慣病を発症した状態」と捉えてしまう方もいますが、両者は少し違います。

それは、高血圧や脂質異常症、糖尿病の診断基準よりも、メタボの血圧高値、血清脂質異常、高血糖の基準のほうがやや厳しいという点です。つまり、健康診断で高血圧症や糖尿病などの生活習慣病と診断されていない人だとしても、下記(腹囲の基準+★のうち2つ以上)に該当すればメタボと判定されます。

腹囲
男性85cm以上、女性90cm以上
★血圧
収縮期血圧が130mmHg以上かつ(または)拡張期血圧が85mmHg以上
★空腹時血糖
110mg/dL以上
★血清脂質
中性脂肪150mg/dL以上かつ(または)HDLコレステロール40mg/dL未満

メタボは心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上昇させる

メタボの条件である血圧高値、血清脂質異常、高血糖などは、いずれも血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる要因として知られています。この動脈硬化が進行すると、血管の内部が狭くなり血流が悪化することで「血栓」が発生し、血流を完全に塞いでしまう心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクにつながります。

なお、日本の死亡原因の第一位はがんですが、第二位は心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、そして第三位は脳血管疾患です。つまり、これらの病気のリスクファクターとなるメタボを改善することが、健康管理の上で非常に重要といわれているのです。

おわりに:生活習慣病ではなくても、メタボに該当することも

メタボと生活習慣病は似ているようで違う、それでいて非常に関わりの深い病態です。健康診断で脂質異常症や高血圧症と診断されたことがなかったとしても、メタボの基準には引っかかるという場合、放置していると心筋梗塞や脳梗塞といった命にかかわる症状を引き起こす恐れがあります。健診の際は、メタボに関連する各数値をしっかりとチェックすることが大切です。

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