記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
頰や顎付近はカサカサなのに、Tゾーンは日中のテカリが気になる…。乾燥肌と脂性肌、両方の肌質を併せ持つ、この「混合肌」のスキンケアのポイントについてご紹介していきます。
肌質は、カサカサして水分が不足がちな「乾燥肌」、皮脂の分泌量が多くテカりやすい「脂性肌」、水分量と皮脂量のバランスの良い「普通肌」の3種類に大まかに分けられます。しかし、人によっては「おでこはテカるけど、口周りはカサつく」といったように、顔の箇所によって違う肌質をもっていることがあります。こうした肌質のことを「混合肌」といいます。
皮膚では、「天然保湿因子」と「角質細胞間脂質」が水分を保ち、「皮脂」が水分の蒸発を防いでいます。天然保湿因子や角質細胞間脂質が減ってしまうと水分を皮膚に保っておけず乾燥肌になってしまいます。その一方で、「水分の蒸発を防ごう」と毛穴からの皮脂分泌が活発になりますので、テカリが出てしまいます。
皮脂のおもな役割は「水分の蒸発を防ぐ」ことなので、テカリが出ているからといって必ずしも「皮膚が乾燥していない」というわけではありません。天然保湿因子と角質細胞間脂質が減少することで皮膚の水分量も減少し、そのうえで水分の蒸発を防ぐ皮脂が過剰に分泌してしまうと、乾燥肌×脂性肌タイプの混合肌になってしまいます。
混合肌のなかでも乾燥肌×脂性肌タイプはとてもケアが難しいといわれています。これは乾燥しやすい部分やテカりやすい部分など、部分(パーツ)に合わせてスキンケアのやり方を変えていく必要があるからです。
スキンケアの基本は、洗顔と保湿です。まずはこの2つのポイントから紹介していきましょう。
乾燥するのにテカリも気になる乾燥肌×脂性肌タイプの混合肌の方は、まず洗顔方法に工夫が必要です。
洗顔料は乗せてから時間が経つほどに汚れや皮脂の吸収率が上がっていきます。テカリが気になるパーツからまず洗い、乾燥しやすいパーツは軽めに洗うのがポイントです。多くの人が「Tゾーン」のテカリを気にしていると思います。洗顔ではこのような「皮脂の気になる部分=テカリの気になる部分」から先に泡を乗せていきましょう。
洗顔料をよく泡立てて気になる部分に乗せたら、泡をくるくる転がしながら洗っていきます。気になる部分を洗った後に、頰や口周りのフェイスライン→目元といった順に洗顔を進めていきましょう。なお、テカリが気になる部分を何度も洗ったり、あぶらとり紙で皮脂を取り除いたりしすぎると、さらに皮脂が出てテカリが悪化してしまうこともあります。
洗顔は1日2回までとし、肌は決してこすらず、洗顔料をよく泡立てて優しく洗ってください。
混合肌の解決のためには、お肌のバランスを整えて皮脂の分泌量を正常な状態に戻すことが大切です。テカリ部分の皮脂は、基本的に肌の乾燥を防ぐために過剰分泌されているものなので、「テカっているから保湿はしない」のは逆効果になります。テカっているときほど、むしろ乾燥状態を改善するための保湿ケアが大切になってくるのです。
ただ、保湿ケアのやり方については「乾燥箇所にはたっぷりと保湿剤をつけ、テカリの箇所は少し控えめに塗る」といった具合に、乾燥しているところとテカっているところで少し差をつけましょう。
混合肌の原因は、上でも述べたように「肌の乾燥」です。テカリが気になる方はさっぱりとした化粧水を選びがちですが、混合肌を改善するには保湿効果が高く浸透力の高い化粧水や保湿剤がおすすめです。多少値段が高くても、浸透性が高く肌にしっかりと潤いをもたらしてくれる保湿成分や美容成分がたっぷり配合されたものを選んだほうがいいでしょう。
また、混合肌の方は肌が過敏な状態になっている人が多いので、肌質に合っていて刺激の少ない化粧水や保湿剤を選ぶようにしてください。初めて使用する化粧水や保湿剤は少量を手などに塗って刺激がないか試してから顔に使用するようにしましょう。
混合肌の方は、顔の部位ごとの肌質に合わせたスキンケアをしていくことが大切です。洗顔の順序や保湿の仕方などを少し変えてみるだけで、気になる乾燥やテカリが軽減されるかもしれませんので、試してみてください。
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