記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ヒートショック=冬に起こる症状」というイメージが強いですが、夏場でも起こることがあるってご存知でしたか?今回はヒートショックが起こる仕組みや予防方法をまとめました。今日からできることばかりですので、早速実践して、ヒートショックを予防しましょう。
急激な温度変化によって、体がダメージを受けることを「ヒートショック」と呼んでいます。暖かい所から急に寒い所に行くと、体がブルブル震えることがあります。あの震えは、血圧や心拍数を急激に上げ、体温が下がらないようにするためです。こういった体温調節を行っているため、人間は体温が一定でいられます。
しかし、急激な温度変化に対応するために起きる、血圧や心拍数の激しい変化に耐えきれず、脳出血や心筋梗塞を起こす人がいます。これがヒートショックです。高齢者などが風呂場やトイレで倒れるのは、ヒートショックが原因である場合が多いことがわかっています。
高齢者は血圧の変化を起こしやすく、体温維持機能も低下しているため、急な変化に耐えられないことが多いです。また、高血圧の人は、血圧の急激な変動により、意識を失うことがあります。糖尿病・脂質異常症の人も血圧のスムーズな変化・維持ができず、具合が悪くなる場合があります。
ヒートショックは温度差によって起きますので、冬場だけとは限りません。とても暑い所から、非常に冷えた部屋に入ったときなどにも起こります。
夏は室内の気温と外気温が大きく違うことが多いです。近年は猛暑が続くため、冷房がきいた部屋と外気温が10~20℃ほど変わる場合もあります。
夏のヒートショックを予防するには、衣服で体感温度を調節することが大切です。薄手の上着やショールを持ち歩き、涼しい室内に入る前に羽織りましょう。汗を拭いてから室内に入るのも効果的です。汗が蒸発することで、急激に体感体温が下がるのを防げます。
ヒートショックが起こりやすい流れをご紹介します。日常的にありがちなシチュエーションですので、当てはまる方は注意をすると良いでしょう。
急激な温度変化が繰り返され、それに合わせて血圧も大きく上下します。その変化に耐えきれない人がヒートショックを起こします。冬場の風呂場でヒートショックを起こしやすいのは、温度差が激しいからです。特に真冬は、暖房をつけた部屋と、暖房のない脱衣所やトイレの温度差が10~15℃以上ある場合があります。
ヒートショック対策としては、以下のものが挙げられます。
夏はお風呂のお湯やシャワーの温度に気を付けます。どんなに暑くても頭から冷水をかぶるのは危険です。30℃くらいのぬるめのお湯を、足先から心臓に向かって徐々にかけ、慣らしていきます。
冬は脱衣所などに暖房器具を置いて対応します。また、いきなり熱いお湯を体にかけず、最初はぬるめのお湯を足先からかけましょう。
「飲んだ後のお風呂は最高」という人もいますが、飲酒をすると血管が広がり、血圧が下がります。飲酒で血圧が下がった状態でお風呂に入ると、血圧の上がり幅が広がり、ヒートショックの危険性が高まるといわれています。
夏場は冷えたビールを飲む人も多いと思いますが、飲んだ直後のシャワーなどは危険です。特に高血圧や動脈硬化の人、高齢者などは飲酒後の入浴は控えましょう。入浴後に飲むか、しっかりと酔いを醒ましてから入浴すると安全です。
歳をとるほどに、温度変化への対応が難しくなってきます。しかし、そういった自分の変化に気付かず、今まで通りの生活環境で暮らしている人が多いです。脱衣所に暖房は置いていても、トイレは寒い状態の人も多いのではないでしょうか。高齢者や高血圧の人は、トイレなどにも暖房を入れ、温度差を無くしましょう。
ヒートショックは脳出血や心筋梗塞を引き起こす危険性があります。これらの病気は早期発見が肝心です。高齢者や体の弱っている人が風呂場やトイレに行く場合は、家族が気をつけてあげましょう。「トイレやお風呂が長すぎる場合は家族が確認する」と決めておけば、早期発見につながります。
その他にも、「衣服で体感温度を調節する」 「ヒートショックを起こしやすい高血圧などの病気を発見するため、医師の診察を定期的に受ける」といった予防方法があります。
ヒートショックの予防方法は、気をつければできることばかりです。毎日の生活に取り入れてみて下さい。特に高齢者は自己管理が難しくなります。家族が気にかけ、代わりに管理をしてあげることも大切です。 そして、夏場でもヒートショックは起こることも念頭に置き、予防を心がけましょう。
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