記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生命維持のために、心臓は非常に大切な臓器、ということは誰もが知るところです。では、この心臓の血管が詰まると、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。リスクを回避するための対策と併せてご紹介します。
心臓は、全身の臓器に血液を送るポンプとして、肺で酸素を取り込んだ赤い血液を休むことなく供給しています。心臓から拍出された血液を全身にくまなく流し心臓に戻るという循環を担っているのが血管で、心臓と血管を合わせて循環器とよばれています。
心臓自体の動力源も心臓から送られる血液で、巻きつくようなかたちで心臓の筋肉に血液を送っている血管を冠動脈といいます。この冠動脈が詰まるなどして異常をきたし心臓の動力源が不足すると、「狭心症」や「心筋梗塞」を起こすリスクが高まります。
狭心症は、冠動脈が細くなったり詰まりかかるなどして心臓への血液の供給が少なくなり、血のめぐりが悪くなった状態です。さらに冠動脈が完全に詰まったり急速に細くなって心臓の筋肉細胞が死んでしまい機能が低下したものが、心筋梗塞という突然死を引き起こすこともある疾患です。
血管が詰まる原因となるのは、「動脈硬化」です。動脈硬化は、悪玉コレステロールが増えて酸化し血管の壁にたまり、こぶのようになって血管内を狭くし壁を硬くした状態です。こぶが大きくなるとそれを被う膜がもろくなり、他の要因が加わると傷ついたり破れたりして修復のために血小板が集まり血栓ができてしまいます。
狭心症や心筋梗塞は、年齢とともに、生活習慣病や体質、ストレスなども関係して起こりやすくなります。冠動脈の壁の内側が徐々に細くなる場合もあれば、血液が急に固まって詰まる場合、まれに突然けいれんのように症状を起こすこともあります。無症状の場合もありますが、多くは左胸からみぞおちまたは左肩にかけてのしめつけられるような痛み、息苦しさや呼吸困難、顔色不良などがあらわれ、ひどい場合には失神やショック症状、呼吸停止をきたします。
危険因子となるのは、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、左室肥大、肥満、運動不足などで、特に高血圧に他の要因が加わると発症率が何十倍にも跳ね上がります。これらを避けるためには、生活習慣の改善が必要です。
まず高血圧の場合、塩分を制限し6~8g/日に抑えます。高血圧や糖尿病などになりやく心臓への負担も大きい肥満も、改善が必要です。低脂肪食、低コレステロール食を基本にカリウムや食物繊維、カルシウム、マグネシウムを多く含む食物をとりましょう。
あとは禁煙し、飲酒は大人の男性でビール大ビン1本、日本酒で1合、ウィスキーでダブル1杯までにします。運動は、歩行や軽いジョギングや水泳、自転車など手足の大きな筋肉を使う全身運動を、脈拍数が1分間に[138-(年齢÷2)]になるようにして60分を週3回か、30分を週5~6回行いましょう。ストレスを溜めこまないようにすることも大切です。
心臓の血管が詰まると、狭心症や心筋梗塞を起こし、しめつけられるような胸の痛みや呼吸困難、失神やショック症状、呼吸停止をきたして命に関わります。食生活、生活習慣を見直し、高血圧や肥満の解消、禁煙や節酒、適度な運動などを心がけましょう。
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