記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
心臓神経症とは、動悸や息切れ、息苦しさといった症状が出ているのに、心臓にはこれといった異常がみられないときに疑われる病気です。この記事では、心臓神経症が疑われる場合に行う検査や治療法を紹介します。
「心臓神経症」とは、一般的な心臓病の特徴である胸の痛みや呼吸の苦しさ、動悸、息切れ、めまいなどの症状があるにもかかわらず、検査などでは異常がみられないもので、ダ・コスタ症候群、神経循環無力症とも呼ばれます。原因は、心臓や肺などの臓器ではなく、日常生活や職場でのストレスや過労、環境の変化などによる不安や緊張、抑うつ状態、心臓病に対する極端な恐怖心などにあると考えられています。
症状は、たとえば狭心症などでは運動時など体を動かしているときに起きますが、心臓神経症では安静にしているときに起こることが多く、頭痛、耳鳴り、不眠などを伴うことがあり、不安やストレスが強まるとともに症状があらわれることもあります。一時的な動悸や息切れにより不安感を募らせ、呼吸困難などの重大な症状を引き起こす場合もありますが、身体疾患ではなく不安神経症や身体表現性障害などの精神疾患とされています。
心臓神経症かどうかは、循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患などがないか検査し、心臓など臓器の異常による疾患ではないことを確認して、診断されることになります。
心臓神経症そのものには特別な検査はありませんが、心不全や気胸などを調べる胸部レントゲン検査、動脈硬化のリスクの高さを調べるための血液検査、狭心症や心筋梗塞などの有無を確認する心電図検査、心臓超音波検査、消化器が原因であるかを調べる上部消化管内視鏡検査などが行われます。
そのほかにも症状によりさらに検査が追加されることもありますが、原因となる疾患が見つからず、不安やストレスなど原因となるような背景がある場合に、心臓神経症と診断されることになります。
心臓神経症は、体質や遺伝にストレスなどが加わったり、タバコやコーヒーの飲み過ぎ、隠れた小さな病巣や高血圧の初期症状として起こることもあります。信頼する医師に納得のいくまで検査をしてもらい、心臓神経症と診断されたら、その医師の指示に従うか、心療内科の専門医に相談し、症状の起こりやすい背景や発症の原因を探り、深呼吸など症状を楽にするきっかけづくりを考えましょう。
治療は、精神疾患に準じた薬物療法や非薬物療法が行われます。
心臓神経症は、心臓病の特徴的な症状があるにも関わらず臓器の異常などはみられない疾患です。原因は、日常生活でのストレスや過労、不安や緊張などにあることから、検査により臓器に異常がないことを確認し、症状を起こす原因、背景を自ら知ることが大切です。医師による治療は、薬物療法や認知行動療法など非薬物療法により行われます。
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