心筋梗塞の薬を飲んでいるときは納豆を食べちゃいけないの?

2019/1/8

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

整腸作用や血栓を溶かす効果など、さまざまな健康効果があるとして人気の納豆。ただ、この納豆、心筋梗塞の薬を飲んでいるときは摂取に注意が必要ということをご存知でしたか?

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心筋梗塞の治療で使われる薬はどんなもの?

心筋梗塞の治療で使用される薬は、抗血小板・抗凝固(抗凝血)薬、β遮断薬・硝酸薬・Ca拮抗薬、スタチン、ACE阻害薬、ARBなどです。

抗血小板薬・抗凝固薬

抗血小板薬・抗凝固薬は、血液が固まるのを抑えて血栓を作りにくくする働きのある薬剤で、アスピリン(バファリン81、バイアスピリン®)などが該当します。

β遮断薬・硝酸薬・カルシウム拮抗薬

β遮断薬・硝酸薬・カルシウム拮抗薬は、心臓の過度の運動を抑え心臓が酸素不足等になるのを防いだり、冠動脈を拡張させて心臓への負担を軽減したりするお薬です。

β遮断薬ではテノーミン®、トーワミン®、アーチスト®、硝酸薬ではニトロール®、ニトロペン®、カルシウム拮抗薬ではヘルベッサー®、アダラート®が該当します。これらの薬は狭心症の治療に用いられることが多いのですが、心筋梗塞の治療でも使用することが多々あります。

スタチン・ACE阻害薬・ARB

スタチンは血液中のコレステロールを下げる働きがあり、ACE阻害薬、ARBは血圧を下げる働きがあり、これにより動脈硬化を予防して心臓への負担を軽減させたり、心筋梗塞の再発を予防する効果があります。

心筋梗塞の薬を飲んでいるとき、食べちゃいけないものがあるの?

心筋梗塞の治療に使用されるお薬の中には、服用中に食べたり飲んだりしてはいけないものがいくつかあります。

まず1つ目はワーファリンです。
ワーファリンはビタミンK類似構造のクマリン誘導体というもので、ビタミンKに拮抗して、肝臓においてビタミンKが関与する血液の凝固因子がつくられるのを抑えて血を固まりにくくし、血栓ができるのを抑えるというメカニズムで血液をサラサラにします。そのため、ビタミンKを多量に摂取するとワルファリンと拮抗して、その作用は弱まってしまいます。

特にビタミンKを多く含んでいるのが納豆とクロレラ、青汁です。特に納豆は納豆自体にビタミンKを多く含んでいるだけでなく、腸内で納豆菌がビタミンKを生成してしまうため、摂取してはいけない食材です。

2つ目はカルシウム拮抗薬です。
カルシウム拮抗薬は末梢の血管を拡げて血圧を低下させるお薬ですが、このお薬を飲んでいるときに食べてはいけないものがグレープフルーツです。

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という物質が、小腸上皮細胞にあるCYP3A4という代謝酵素を阻害することで、カルシウム拮抗薬の代謝が妨げられます。そうすると体内でのお薬の濃度が上がってしまうため結果として薬が効きすぎてしまい、血圧を低下させてしまいます。

また、グレープフルーツだけでなくスウィーティー、ざぼん(ぶんたん、ばんぺいゆなど)、だいだいにもフラノクマリン類が含まれているため、食べるのを避けた方が良いでしょう。

薬を飲み忘れたときの対処法は?

薬を飲み忘れてしまったという場合には、基本的には、飲み忘れに気づいたときに服用することが良いとされています。しかし、飲み忘れに気づいた時間がポイントとなります。

飲み忘れに気が付いた時間が、服薬予定時間の12時間以内であれば気づいたときにすぐに飲んでもかまいません。しかし、12時間以降であった場合にはその日の薬は飲まず、翌日からいつも通りの時間にいつも通りの量を内服するようにしてください。決して2回分を同時に飲むということはしないようにしましょう。

おわりに:薬によって食べてはいけないものがあることを理解しておこう

心筋梗塞の治療薬には血液をサラサラにしたり、冠動脈を拡張させたり心臓の負担を抑えたりする効果があります。
ただし、心筋梗塞の治療のためにワーファリンを飲んでいる場合には納豆やクロレラといったビタミンKを含む食材、カルシウム拮抗薬を飲んでいる場合にはグレープフルーツの摂取は控える必要があります。
確実に治療効果を出すために、ぜひ覚えておきましょう。

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