記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
忘年会に新年会など、何かとお酒を飲む機会が増える年末年始。飲み会の翌日、「酒焼けで声がガラガラだよ~」なんて話を聞くことも多いのではないでしょうか。ただこの酒焼け、実はお酒の飲みすぎが原因ではないということが近年わかってきているのです。
一般的に、飲酒後にハスキーボイスになることを「酒焼け」と呼びます。実際、スナックのママやお酒好きな人の声はかすれていることが多いため、「酒焼け=お酒の飲みすぎで起こるもの」と思っている方は多いでしょう。しかし医学的には、アルコールが声帯に直接的な影響を与えることはないと考えられています。
では、お酒を飲んだ後に酒焼け声になってしまう本当の原因とは、いったい何なのでしょうか。
飲み会の後、二次会のカラオケは鉄板かもしれませんが、実はこのカラオケが原因で酒焼け声になってしまうケースは非常に多いです。大きな声を出し、無理に自分の声よりも高いキーの曲を歌おうとすると、声帯にはかなりの負担になります。また、歌っている間は口呼吸になりがちなので、声帯が乾燥しやすく、喉の粘膜が傷つきやすくなります。
酒焼け声の主原因とされているのが、タバコです。喫煙をすると声帯の血管が収縮し、血流が悪くなったり、また低温やけどになったりすることで声帯がむくみます。さらに喫煙によって声帯が乾燥するために、ますます喉がただれてしまうのです。
このほか、お酒を飲んでいるうちにタバコの本数が増えてしまうことも、喉を傷つける原因になります。
お酒の席は盛り上がって饒舌になったり、つい大声になりがちですが、しゃべりすぎると喉が乾燥し、声帯がスムーズに動かなくなることで声が出にくくなってしまいます。
アルコールそのものが声帯に影響を与えるわけではありませんが、アルコールには利尿作用があり、また血管内のアルコールには細胞から水分を奪う作用もあります。そのためお酒を飲んでいる間は体が脱水気味になり、喉が乾燥することで酒焼け声につながる可能性はあります。
「酒焼け」という文字から、「お酒の飲みすぎで喉が焼けて、声がガラガラになる」と思いがちですが、実はカラオケ、タバコ、おしゃべりといった酒の席に付随する要因こそが、あの酒焼け声を招いていると考えられます。飲み会の後、いつも声が枯れてしまう…という方は、こまめに水を飲んだりして声帯を乾燥から守ってあげるようにしましょう。
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