心筋マーカーってどんなもの?調べるとわかることは?

2019/2/13

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

心筋マーカーとは、血液検査の一種です。以降ではこの心筋マーカーとは、血中のどのような成分について検査するものなのか、心筋マーカーによって何がわかるのかについて解説します。

心筋マーカーとは?

心筋マーカーとは、心筋梗塞などの虚血性心疾患の診断に使われる血液検査のことです。これらの心疾患では心筋細胞膜が壊されてしまうため、血中に「心筋逸脱酵素」と呼ばれる酵素が流出し、血中濃度が高まります。さらに心筋細胞の壊死が起こると筋原線維が分解され、血中に流出する逸脱酵素の種類が増えます。そこで、これらの酵素の血中濃度を調べることで、虚血性心疾患の有無を調べることができます

心筋梗塞とは、心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈の血液が何らかの原因で流れにくくなったり、流れる量が少なくなって心臓の筋肉に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり、虚血状態となり心筋細胞が壊死してしまった状態のことを指します。

心筋梗塞の診断を行うには心電図も有効ですが、心筋梗塞の範囲や部位によっては心電図にわずかな変化しか現れず、異常を発見できない場合があります。また、心電図に現れてくる異常は発生から長く残るものもあるため、再発の場合は現在進行中の病変なのか、過去に起こった病変なのかの判断がつかないことがあります。

そのため、診断には心電図よりも心筋マーカーの方が有用とされています。ただし、心筋マーカーは心筋梗塞が発症してからの経過時間によってそれぞれの酵素のピーク時間が異なりますので、心筋梗塞の病期によって使い分ける必要があります。

心筋マーカーでどんなことがわかるの?

心筋梗塞によって血中に流れ出す心筋逸脱酵素には、CPK・CPK-MB、ミオグロビン、H-FABP、トロポニンT、ミオシン軽鎖Iがあります。心筋の細胞膜が壊れた状態では「CPK・CPK-MB、ミオグロビン、H-FABP、トロポニンT」が逸脱しますが、その後心筋細胞が壊死すると、「トロポニンT、ミオシン軽鎖I」が逸脱します。

各酵素の詳細は、以下のようになっています。

CPK・CPK-MB(クレアチンホスホキナーゼ)
筋肉に多く含まれる酵素で、筋肉が障害されると血中に流出する
急性心筋梗塞や筋ジストロフィー症で著しく上昇する
CPK-MBは特に心筋に多く含まれるため、心疾患によって上昇する
ミオグロビン
心筋と骨格筋の細胞内に存在するタンパク質で、心筋細胞が障害されると血中に流出する
H-FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白)
心筋内の細胞質に豊富に存在するタンパク質で、心筋細胞が障害されると血中に流出する
トロポニンT
トロポニンT(心筋トロポニンT)は主に心筋細胞内の筋原線維に含まれる酵素
心筋細胞障害を起こす心筋梗塞の際には、血中に流出する
ミオシン軽鎖I
心筋と骨格筋の細胞内に存在するタンパク質で、心筋細胞が障害されると血中に流出する

これらの酵素の血中濃度のピークは、心筋梗塞が発症した後の経過時間によって変化します。例えば、心筋梗塞後数時間の超急性期ではH-FABPやミオグロビンが高値になります。また、数時間~24時間の急性期ではトロポニンTやCPK-MBが流出することがわかっています。さらに、発症後数日~ 10日ほど経ったころには、トロポニンTやミオシン軽鎖Iで検査するのが有用です。

その他、再梗塞の診断にはH-FAMP、ミオグロビン、CPK-MBを使用します。心筋マーカーでは心筋梗塞の範囲を推測することもでき、梗塞量や重症度の判定にはトロポニンTやミオシン軽鎖Iを使用します。壊死の範囲が広ければ値が高くなり、治療で効果が見られれば値は低下します。

おわりに:心筋マーカーでは心筋梗塞の程度や範囲を推測することができる!

心筋マーカーとは、心筋梗塞が起こった際に病変の程度や範囲を診断するために使われる血液検査です。心筋梗塞が起こると心臓の筋肉細胞が壊れ、血中に逸脱酵素と呼ばれる心筋細胞内の酵素が流れ出します。

心筋マーカーはこれらの逸脱酵素の濃度を測定することで、心筋梗塞の程度や範囲を推測します。酵素の濃度は経過時間によって変わりますので、時間や症状によって心筋マーカーを使い分ける必要があります。

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