血栓症を予防する食べ物や飲み物は?おすすめの青魚レシピを紹介

2019/2/11 記事改定日: 2020/10/14
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

血栓症は、老若男女問わず発症する可能性のある病気です。血栓症の予防には、血液をサラサラにして血行をよくする、血管を強くするなどがよいとされています。毎日の食習慣を改善することが健康的な血液や血管づくりにつながりますので、血栓発生予防におすすめの食べ物と飲み物、レシピを紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

血栓症予防は血液・血管・血行の改善がポイント!

血栓症とは、血管の中に発生した血の塊(血栓)が血管をつまらせてしまう病気です。血栓によって血液の循環が滞ってしまうと、体は酸素や栄養が不足した状態に陥り、臓器の壊死、脳や心臓など体の各機能の低下が起こります。最悪の場合、血栓が脳や心臓を通る重要な血管をつまらせ突然死を招く事態があります。

血栓の発生は、血液、血管、血流に起きた異常によって促進されます。そのため下記のように血液や血管を健康的に保つことが血栓予防のポイントとなります。

  • 血液をサラサラに保つ
  • 血管を強くする
  • 血行をよくする

特に血管は食生活からの影響を大きく受けるため、毎日の食生活の改善は血栓予防に欠かせません

血栓ができる原因

血栓ができやすくなる原因には次のようなものが挙げられます。

  • 水分不足
  • 長期間の臥床
  • 長時間同じ姿勢をとる
  • 人工弁や血管内ステントなどの留置
  • 不整脈

基本的に、血栓は血液が濃くなったり、血液の流れが悪くなったりすることで発生しやすくなり、水分不足による脱水、長期間寝たきり状態でいること、同一姿勢が続くことなどで血行が著しく悪化することが要因になります。

また、人工弁や血管内ステントなど治療によって血管や心臓内に留置した人、医療機器や心房細動などの不整脈の人は、血栓の形成を促すため血栓ができやすいです。血液をサラサラにする薬剤の服用が欠かせなくなります。

血栓の発生を予防に役立つ食べ物と注目の成分

血栓の発生を防ぐ働きが期待される食べ物を紹介しますので、毎日の食生活の参考にしてください。

納豆

納豆に含まれる成分「ナットウキナーゼ」は、血栓を溶かして血液をサラサラにします。1日あたりの摂取量の目安は1パックで、夕食に食べるとより効果的です。というのも、就寝中は体が水分不足になりやすく、血液がドロドロになる可能性が高くなるためです。

ただし、ワーファリンなどのビタミンK拮抗薬を服用している場合、納豆を食べると薬の効果を消してしまいます。服用中の方は納豆を食べないでください。

青魚

青魚に含まれるEPAとDHAには、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。EPAは血栓の発生を防ぎ、血行を改善します。DHAは血管や赤血球の弾力性を高めます。

特に旬の青魚は栄養満点でEPAとDHAを豊富に含んでいますので、魚の旬に合わせて食事を楽しむのがおすすめです。

  • アジ 5月~7月
  • イワシ 6月~10月(産地によって異なる)
  • サバ 10月~12月
  • サンマ 9月~10月
  • カツオ 8月下旬~9月の戻りガツオ(初ガツオにはEPAとDHAはあまり含まれていないので注意)

ネギ類

ネギ類は強い血栓予防作用を持ちます。ネギ類は出血を抑える働きをする血小板の凝集を抑え、血栓の発生を防ぎます。これは、長ネギ、タマネギ、にんにくなど、鼻を刺激するツンとした香りを持つネギ類に豊富に含まれる作用です。

血栓症の予防効果が期待できる飲み物と成分の働き

人体の大半を占めるのは水分です。水分不足になると、血液はドロドロになって異常が発生しやすくなります。水分補給は血栓予防の基本で、口から摂取する飲み物が血液に与える影響も大きいです。以下に、血栓予防に取り入れたい飲み物を紹介します。

麦茶

大麦を焙煎してできるのが麦茶ですが、大麦には血液サラサラ効果が期待されます。香り成分のアルキルピラジンは、血液の循環を促します。大麦に含まれるアミノ酸である「GABA」には、ノルアドレナリンの分泌を抑えて血圧上昇を防ぐ働きがあります。

コーヒーやアルコール類、カフェイン入りの飲料を控えたい人におすすめの飲み物です。

コーヒー

ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれています。クロロゲン酸は肝臓でフェルラ酸という成分に分解され、血小板の凝集を抑える働きを持ちます
また、コーヒーの香りに含まれる成分「ピラジン酸」も血小板の凝集に作用すると考えられています。

泡盛・本格焼酎

「健康志向といえば禁酒」というイメージを持たれがちですが、お酒を飲む目的とお酒の種類を適切に組み合わせれば、健康と飲酒は両立できます。
血栓予防を目指す人には、本格焼酎と泡盛がおすすめです。ほかのアルコール類と比較して本格焼酎と泡盛は、血栓溶解酵素の働きを活性化させるという研究結果が報告されています。
ただし飲み過ぎは禁物です。くれぐれも適量を守るようにしましょう。

血栓予防におすすめの青魚レシピで血液サラサラに!

アジのじゃがいもはさみ揚げ

アジに含まれるEPAとネギが持つ作用で、血液をサラサラにします。 また、じゃがいもに含まれるカリウムは体内のナトリウムを排出するため、塩分が気になる人にもおすすめです。

材料(1人分)

  • アジ 1尾
  • じゃがいも 1個
  • ネギ 8g
  • A しょうが汁 少々
  • A 酒 小さじ1/4
  • B 卵液 1/2個分
  • B 水 適量
  • B 小麦粉 1/3カップ
  • B 塩 少々
  • 大根おろし 適量
  • 青じそ 1枚
  • 酢醤油 適量

作り方

  1. アジは両面を焼き色がつくまで焼く。骨を取り除き、身をほぐしておく
  2. じゃがいもは皮をむき、3mm厚さの輪切りにする。はさみ揚げのため、2枚で1組になるように偶数枚にしておく。軽く水にさらしてから、水気をふき取る
  3. ネギはみじん切りにする
  4. ボウルに①、③、A(しょうが汁、酒)の具材を入れて、よく混ぜ合わせてタネを作る
  5. ②のじゃがいもでタネを挟む
  6. カップ1/3の量になるように、Bの卵液と水を混ぜる。カップ1/3になったらボウルに入れ、残りのB(卵液、水、小麦粉、塩)の具材を加えてさっくりと混ぜて、衣を作る
  7. 揚げ油を170℃に熱する。⑤に、⑥で作った衣をつけて、揚げる
  8. 揚がったら器に盛り付け、大根おろし、青じそを添える。
  9. お好みの割合で酢醤油を作り、完成

サンマとキムチのピリ辛煮

サンマに含まれるDHAで血液中のコレステロールと中性脂肪を抑制し、EPAで血行改善を促します。また、ニラもネギ類のひとつですので、血栓予防も期待できます。

材料(2人分)

  • サンマ 2尾
  • キムチ 80g
  • ニラ 60g
  • A 酒 1/4カップ
  • A 水 1/4カップ
  • 塩・コショウ 各少々
  • ネギ 適量

作り方

  1. サンマの頭と内臓を取り、3枚におろす。腹骨をすきながら取り除き、3等分に切る
    キムチを1cm長さに切る
  2. ニラを3~4cm長さに切る
  3. 鍋にニラ、キムチ、A(酒、水)を入れて火にかけ、煮立ったらサンマを加える
  4. アクを取り、塩・コショウで味を調える。弱火にして12~13分煮る
  5. ネギを包丁で白髪ネギにする
  6. ⑤を器に盛り付け、白髪ネギを添えて完成

おわりに:食材や飲み物が持つ効果を毎日の食生活に取り入れて血栓を予防しましょう

血栓予防は食生活との関係が深く、自分でできる予防法を取り入れると効果が期待できます。食べ物や飲み物で血液をサラサラにし、血行を改善するのが効果的です。予防を無理せず続けていけるよう、食事改善も自分に合うものを選び、楽しみながら行っていきましょう。

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